アーリック・ボーザー

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ




はじめの一行

イントロダクション

その小学校は道の突き当りにあった。ニューヨーク市から十五キロほど北の郊外、重厚なコロニアル様式の家が並ぶ街路の裏に、低層の赤レンガの後者が鎮座していた。一九八六年一月六日、温度計が〇℃すれすれまで下がった寒い朝だ。校舎の前に列をなして停まる親たちの車から、笑ったり、しゃべったり、耳をつんざくような叫び声をあげたりしながら、子どもたちが下りていく。
一〇時三〇分過ぎ、教室の椅子に男の子が着席した。くしゃくしゃの大きく膨らんだ金髪に、緑色の目。あと数日で十一歳になる。服装はほとんどいつもタートルネックのセーターにコーデュロイのズボン。バックパックに宿題のプリントが突っ込んである。プリントの間に「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(アメリカで開発されたロールプレイングゲーム)風の自作の絵が混じっているのもお約束だ。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ(アーリック・ボーザー)

こういった、ある情景、物語の描写から始まるというのは、どうも洋書のちょっと論文テキスタイルの本ではお決まりな感じですね。
はじまりは、学習障害を持つある男の子の話から始まります。

本書の内容

「学習」を「科学」する

日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、海外では学習を科学する学問、「学習学」がけっこう活発なようです。
私の知っている範囲では例えば、フォトリーディングのポール・R・シーリイさんがパッと頭に浮かびます。
本書の著者もそれを似たような研究をされているようです。
学習の過程には何が必要で、どうすれば学習が進むのか、ということです。

その内容は、目次を見るとぼんやり見えてきます。

第一章 価値を見いだす
意味を自ら発見する/学びを自ら「作り上げる」/探索する種/「知的努力には伝染性がある」/意味とは学ぶこと/言語の摩滅/マインドセットの大切さ/MET研究
第二章 目標を決める
短期記憶の容量の小ささ/知識は学習の土台/学習にコンフォートゾーンはない/思考の質を上げる/思考についての思考―そして情動/感情管理の必要性/自己効力感/学習は難しくて当たり前
第三章 能力を伸ばす
モニタリング/外部からのフィードバック/苦労の本質と反復/「検索練習」/脳の可塑性/間違いの心理
第四章 発展させる
マイルス・デイヴィスの傑作/学習の発展としての議論/応用の必要性/「ハイテック・ハイ」/人に教えるという学習方法/不確実性の価値/「多様性は人を賢くする」/疑問の大切さ
第五章 関係づける
システム思考/「最大の認知上の障害」/仮定思考/ハッキング/視覚的アプローチ/アナロジーの価値/問題解決のスキル
第六章 再考する
過信/直感型思考と熟慮型思考/評価する必要性/自分に分かっていないことを知る/分散学習/内省の必要性/静かな時間/「こぶし」実験/無限のプロセス

今すぐできるコツ

じゃあ、学習ということを意識した時に、手軽にできることと言えばどんなものがあるでしょうか。
私が感じたのは、結構大事なのが第一章の「価値を見出す」ということ。
要は、学習する意義をしっかりと把握するということです。

このことは、当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、それなりに意義がわからないと学習は進みにくい。

あと、もう少し抽象化してお話をすると、学ぶ対象の中に飛び込む、というのでしょうか。
例えば歴史の勉強をするとしましょう。
単に教科書に書いてあることをインプットするだけだと、学習としては少し弱い。
たとえば、そういった時代に合った歴史的事実の中に身を置いて考えてみる。
するといろんな疑問も出てくるし、連想していろんな好奇心もわいてくる。
そういった中で、深め、広めていくという動作が結構大事なような気がしました。

ビジネスなどについては、「やってみる」ということです。
やってみて、上手くいった、行かなかったというフィードバックを受けたうえで、もう一度教科書に戻ってみる。
すると、単に読んでいただけでは気づかないことに気づいたりするものです。

受け身の学習では限界がある。
本書が言いたいのは、そんなことだったのではないかと感じました。

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