小説

夢のカルテ




はじめの一行

プロローグ

夢衣(ゆい)は夢の中にいた。
白いドレスを着て、冷たいアスファルトの上を素足で歩いていた。
空は低い雲に覆われて一面の銀幕となり、無人の都市を淡い光で包んでいる。
おかしい、と夢衣は思った。この街を歩いていれば、誰かに逢えるはずだった。それなのに、どうして自分しかいないんだろう?
時折吹き抜けるそよ風が、夢衣の前髪を躍らせる。左手で髪をかき上げながら、あたりを見回した。広い道路の両側に立ち並ぶビルはどれも銀色で、見ただけで誰もいないのがわかった。

夢のカルテ(高野和明+阪上仁志)

いきなりの「夢の中」のシーン。
こういう唐突なスタートはやはり意図している者なのでしょうね。
グイグイ引き込まれてしまいます。

やはり、なぞというか、見えない部分があることが人を引き込む要素になるのかもしれません。

本書の内容

特殊能力を持つカウンセラー

冒頭に出てくる夢衣は、特殊能力を持つ心理カウンセラー。
その特殊能力というのは、他人の夢に入り込めるということ。
人の夢は、その人の潜在意識を表すものと言われるのはよく知られた話。
その夢に直接アクセスすることで、より効果の高いカウンセリングを行っているということになります。

この夢衣のところに、刑事が訪れます。
この刑事は、自分のせいで、一人の人間が事件に巻き込まれてなくなってしまった。
その事件のせいで、眠れない日々を送っていました。
それを治したい、という思いで夢衣のカウンセリングルームのドアを開けます。

夢という世界で

もともと夢衣は、この脳力のせいでいじめられたことがある。
たまたま、小学校の頃のクラスの泊りがけのイベントのとき、友達の夢に入ったことがその理由。
本人は軽い気持ちだったのですが、多くの友人たちが夢に夢衣が出てきたということで気味悪がっていた。
その経験があるため、あまりその能力をおやけにはしていなかった。

しかし、これを活かす仕事としてカウンセラーになったわけですが、人の本心が見えるというのは結構きついもの。
また、刑事の夢には、実際に起こった事件、そこで巻き込まれて殺される一般人がリアルに再現されています。

そして、刑事と対峙した犯人はまだ捕まっていない。

リアルな事件捜査の進展、カウンセリングの進展、これらが一つに結びつき、現実に起こるできごと。

そんな物語の中で、夢衣の葛藤、次々と訪れるクライアントの葛藤が描き出されています。

 

相変わらずのリアリティの高野和明さんの小説なので、安心して楽しむことができます。

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