ウイリアム・コーエン

ドラッカー全教え ~自分の頭で考える技術~




はじめの1行

現代経営学の父、ピーター・ドラッカーとの出会い(フィリップ・コトラー)

ドラッカーとは面識があるし、彼の自宅を訪問したこともあるし、彼ともフランシス・ヘッセルバインともずっとつきあってきたが、彼がドリスとともにクレアモントの自宅で教えていたコンサルティングの講義にはかかわったことがない。それはともかく、適切な問いを発することがなんといっても大事だと彼が強調していたことはよく覚えている。困った時には、彼が提唱した五つの質問を発するのが一番だろう。

ドラッカー全教え ~自分の頭で考える技術~(ウィリアム・コーエン)

まえがきの代わりを、フィリップ・コトラーの寄稿文で始まるとはなんと豪華な(笑)
ここにあげた数行は、今回の本の本質を抉り出しているとも言えます。
もちろん中身は深いものではありますが、「問い」「五つの質問」という本書のかなり中心にあるテーマを数行でさらっと語るのは期待感をそそられます。

本書の内容

ドラッカー塾の門下生

そもそも、ドラッカー塾なんてものがあったかどうかは知りませんが、ドラッカーが教鞭をとるもとで学んだのが本書の著者。
比較的ドラッカーの近くにいた人ということで、門下生と言ってよさそうな方です。
この方が、ドラッカーの著者はもとより、ドラッカーの日ごろの会話や行動を反芻しつつ、ドラッカーの考え方を解説したのが本書と言えると思います。

読んだ人はわかると思いますが、ドラッカーの言葉には隙間が多い。
平易な言葉を使っているので、何が書かれているかを文字として、文章として認識することは難しくありません。
しかし、その一語一語、行間に込められた隙間というのがけっこう厄介。
これは、本書を読むと意図的にやっていたことなんだろうな、と感じられます。

つまり、ドラッカーは自らが答えを出すのではなく、読み手が考え、自分で答えを出すことを望んでいる。
そんな風に感じましたがいかがでしょうか。

ドラッカーのコンサルティング風景

ドラッカーの著書ではほとんど見ることのできない、ドラッカーのコンサルティングの風景が時折本書では紹介されます。
比較的有名なところでは、GEの代表についた、ジャック・ウェルチとの会話は、何かと参考になる部分も多い。
そして、冒頭にある五つの質問。
彼はとにかく質問をし、その質問に対し、相手に考えさせたといいます。
答えを提示するのではなく、考える機会を提示する。
これがドラッカーのコンサルティングスタイルのようです。

数字を重視するが直感を大事にする

本書で比較的強調されているのは、直感の大切さです。
ドラッカーは、数字を厳しく見るように指導していたと思いますが、実は物事の決定に直感を使うことも推奨していました。
数字を確認することで、状況を評価することは大事だけど、最終的な決断を数字だけでは行わないほうがいいとも言っているようです。
これはちょっと意外なのですが、人間の右脳的発想を大事にすることも説いていたようです。

ということで、本書は、ドラッカー本を読んだことがあるけど、読むのが結構しんどいとか、わかったようなわからないような感覚だった、という方が読むと非常にわかりやすいと思います。
著者も、ドラッカーの教えに倣い、考える余地は残しながらドラッカーを解説してくれています。
私の中では、非常にお気に入りの一冊です。

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