目次
はじめの一行
戦火
昼と夜とではまるで別世界だ、美由紀は篠海家の玄関前に立ちそう思った。街路灯は見当たらず、家屋の窓という窓には雨戸が固くと閉ざしてあり、漏れだす明かりは皆無だった。付近に存在する高原らしきものと言えば、切れかかって明滅を繰り返す門柱灯ひとつだけだ。実際、あぜ道を脱輪せずにここまで車を運ぶのにもかなり骨が折れた。帰り道を考えると、また憂鬱だった。この家の主人が夜明けまで留まることを許してくれるとは、とても思えない。
田舎の夜の景色。
雨、暗闇、あぜ道。
これらはその時の主人公たちの心の様子を反映しているのかもしれませんね。
本書の内容
ついに物語が急展開
本書は下巻ということです。
上巻については、こちらをご参照ください。
起承転結で言うなら、上巻は起承。
下巻が転結といった展開。
つまり、物語は一気に加速します。
上巻で、「子どもを死なせた」という前提で進むお話が、一気に別の可能性をはらんできます。
そして、アルタミラ精神衛生の意外な真実もここで明らかにされます。
上巻では、内面描写にずいぶんと時間をかけていましたが、下巻ではストーリーが一気に進みます。
ああ、これぞ松岡圭祐さん(笑)
特に、下巻の真ん中あたりからは、これまでの謎や、事実が一つの結論に向かって一気に進んでいきます。
そしてラストは、すべての謎が解決し、スッキリ。
私に関して言うと、上巻で起こったことをすっかり忘れていて、ああそんなこともあったっけ、という内容まで出てきました(笑)
メッセージ
たいてい、松岡圭祐さんの作品には、裏テーマというか一定の主張があることが多いと思います。
それは社会性の高い内容なのですが、今回はそのものズバリ自衛隊の在り方なのかもしれません。
物語を通じて、こういった何かしらの社会への問題提起がある。
それが重いと感じる人もいるかもしれませんが、私は結構好きかもしれません。
本書は、上巻はどちらかと言えば、重すぎて、物語の展開も今一つスピード感に欠けますが、下巻を読むとすっきり。
上巻でやめてしまわないことをお勧めします。
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これをiPadでぱらぱら見てます(笑)
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