住野よる

君の膵臓をたべたい




はじめの一行

エキセントリックなタイトル

この小説、まもなく映画が封切されるようです。
けっこう売れたってことですね。
それもそのはずで、初めて書店に並んだ時、「君の膵臓をたべたい」なんていう、エキセントリックなタイトルにドキッとしたのは私だけではないと思います。

タイトルを見た瞬間、ホラーなのか?と思ったのが私の正直な感想。
表紙を見ると、そんな様子でもなさそうだし、だけどなんだかグロテスク。
まあ、気になってしょうがないわけです・
恐らく、膵臓というのも、胃でもなく、心臓でもなく膵臓である事にはこだわったような気がします。

もう、タイトルの時点で、売れる要素満点だったのではないかと思います。

はじめの一行

この小説は、こんな一文から始まります。

クラスメイトであった山内桜良の葬儀は、生前の彼女にはまるで似つかわしくない曇天の日にとり行われた。

彼女の命の価値の証として、たくさんの人の涙に包まれているのであろうお葬式にも、昨日の夜の通夜にも僕はいかなかった。ずっと家にいた。

君の膵臓をたべたい(住野よる)

いきなり、キーになりそうな人物である、山内桜良、いきなり死んでます。
お葬式のシーンです。
しかも、主人公であろう”僕”は、その葬式にもいっていない。
このアンバランスな感じは、ちょっと先が気になります。

実は、この出だしから数行は、一度最後まで読んで戻ってくるとなんとなく感慨深いものがあります。

奇妙尽くしな小説?

どうやら関係が深かったであろう、山内桜良の葬儀には出ない。
しかも、主人公らしい”僕”の名前は最後の方まで出てきません。
なんとなく違和感を持ちながら読み進めると、”僕”の名前が出されない理由は明らかになります。

タイトルの、「君の膵臓をたべたい」という言葉の意味も比較的早い段階で明らかにされます。

多分、はじめの1/3くらいで、
「ああ、この小説はこういうよくあるストーリーだよね」
と思いかけるぐらい、しばしば見かけるシチュエーションです。
それでもなお読み続けたくなるのは、冒頭のシーンがあるからかもしれません。
その中なのに、葬儀に出ない。
なんでだろう・・・と。

力強い言葉

この本のもう一つの魅力は、文中で繰り出される登場人物の強い言葉。
これが17歳とは思えない(笑)
その中でも特に印象に残った言葉を最後に引用します。

「違うよ。偶然じゃない。私達は、皆、自分で選んでここに来たの。君と私がクラスで一緒だったのも、あの日病院にいたのも、偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。私たちは、自分の意志で出会ったんだよ」

君の膵臓をたべたい(住野よる)

ああ、一応お伝えしておきます。
7月28日から映画が封切されるようですが、気を付けたほうがいいです。
きっと泣きます。
ご準備は怠らないように。

本書のご購入はこちらから




ピックアップ記事

  1. 成長マインドセット
  2. はじめに
  3. 脳は「ものの見方」で進化する
  4. ある犬のおはなし
  5. 残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する

関連記事

  1. 小説

    水鏡推理Ⅱ インパクトファクター

    はじめの一行1志賀雄介は、デスクの上の鏡に映る…

  2. 小説

    水族館ガール

    はじめの一行プロローグああ、あくびが出る。…

  3. 小説

    水鏡推理

    はじめの一行薄暗い緊張どうも、本書の著者、松岡…

  4. 小説

    奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い

    はじめの一行まずは恐怖の体験から本書は、行って…

  5. 小説

    記憶屋Ⅲ

    はじめの一行新たな物語の始まり本書は、前作『記…

  6. 小説

    記憶屋II

    はじめの一行芽衣子本書での主人公っぽい立場にい…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。







  1. ビジネス書

    ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論
  2. 小説

    WILL
  3. 常富泰弘

    自分に自信をつける最高の方法―――ミス・ユニバース・ジャパンビューティーキャンプ…
  4. 原田マハ

    本日は、お日柄もよく
  5. ピエール・ルメートル

    その女アレックス
PAGE TOP