小説

水族館ガール2




はじめの一行

プロローグ

夕暮れの海岸、先輩が振り向き、私の名を呼ぶ。由香。
由香は夢を見ていた。
ああ、もう最高。「おい」とか「お前」とか「この馬鹿」とかしか呼ばれたことがない。---という現実は、この際いらない。これは私、嶋由香の夢なんだから。なんて呼び返せばいい。いっそ、「あなた」とか、どうかしら。
先輩がささやいた。
会いたかった。
どうしよう。素直に「先輩、私もです」と応えるべきか。いや、黙って駆け寄り、思い切り胸に飛び込むほうが良いのでは。わざと恥じらって見せ、抱きしめられるのを待つ、なんていうのも捨てがたい。乙女心って複雑。

水族館ガール2(木宮条太郎)

水族館のお仕事小説の2巻。
はじまりは、そろそろお決まりのパターンになってきた、主人公「嶋由香」の夢から。
1巻のころから、要所要所、由香の夢は出てきましたが、当初は本人も気づかない潜在意識のドラマだったりしました。
今はもう、自分と夢が完ぺきに統合されてますね。

ちょっと「おや?」と思わせる展開と同時に、初めて読む人にも主人公の立場をさりげなく見せているところに、上手いなぁと思ったりしました。

本書の内容

「つなぐ」

本書のテーマは、場所を越えて「つなぐ」という一言に集約されるんじゃないかと思います。
どういうことかというと、全巻で(たぶん)恋人同士となった、梶先輩と由香。
せっかく結ばれたというのに、梶は関西の水族館に出向します。
いきなり遠距離恋愛です。

そして由香は、アクアパークのイルカ全般の責任者として奔走します。

そんな折、梶の職場にも、由香の職場にもそれぞれちょっとした変化が訪れます。
関西の水族館では、短期の出向者である梶をどこか受け入れない空気があったが、梶の純粋さと情熱に、だんだんと周囲の人が動かされていきます。
由香の職場には、新人くん「ヒョロ」が入社し、傷ついたイルカが漂着し、それを保護します。
こういったそれぞれのきっかけが、どんどんと広くつながり最終的にはある大きなムーブメントを起こします。

まあ、これ以上話すと完璧ネタバレなので言いませんが、小さな物語の積み重ねが最後に一つになる。
この感じは、本書のだいご味の1つじゃないかと思います。

水族館だけにさわやか(?)

このシリーズ、私的には「とにかく早く次が読みたい!」という感じではないんです。
それは面白くないということではなくて、次を読ませようとする仕掛けが少ないのかもしれません。
そういう意味では、一冊ごとにそれなりに話が完結します。
そしてその一冊の満足度はけっこう高いです。

ちょっぴり目頭が熱くなるシーンもあれば、イルカの可能性にワクワクすることもある。
梶と由香の関係にやきもきしたり、色々共感できるシーンもある。
だから好きな小説ではあるんだけど、なんとなく優先順位が後になりがちなんですよね。
あ、今読む本ないから、これでも読んでおくか、って感じ。
まあ失敗はないし、気楽に読めるし、安心感もある(基本、ハッピーエンドだと信じている)。
私的にはそういう立場にある一冊です。
たぶん「3」も、ふとした時に思いだして読むんだろうと思います(笑)

【目次】
■プロローグ
■第一プール 水族館パンチ
■第二プール ヒト・トレーニング
■第三プール すれ違いジャンプ
■第四プール 恋水
■第五プール 丸顔のアシカ
■第六プール 壊れたマンボウ
■第七プール 甘いシャチ
■第八プール シンクロ・ジャンプ
■エピローグ

Amazonでのご購入はこちら

【PR】———————————–
月々たった380円で雑誌が読み放題。
たとえば、コピーライティングで、女性誌・男性誌などをぱらぱらと見たいとか、
特定の趣味の人の話題を知りたいとか、そういったときにはとても役に立ちます。
私も契約して、どうしても参加しなければならないつまらない会議の時には、
これをiPadでぱらぱら見てます(笑)
メジャーな雑誌はけっこうそろっているので、おすすめです。




——————————————




ピックアップ記事

  1. 残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する
  2. 成長マインドセット
  3. 脳は「ものの見方」で進化する
  4. ある犬のおはなし
  5. はじめに

関連記事

  1. 小説

    オー・マイ・ガアッ!

    はじめの1行An Introductionゲス…

  2. 小説

    千里眼 ミドリの猿 完全版―クラシックシリーズ〈2〉

    はじめの一行暗転歩道へ降りる短い階段に一歩を踏…

  3. 小説

    万能鑑定士Qの事件簿 I

    はじめの一行ガードレール世の中には剥がしてはい…

  4. ココロ直

    ナユタン星からのアーカイヴ

    はじめの一行風変りいっっぷう変わった小説は、こ…

  5. 小説

    不倫純愛

    はじめの一行ある中年夫婦の日常はじまりは、ある…

  6. 小説

    万能鑑定士Qの事件簿 II

    はじめの一行精巧なる贋作角川書店に入社四年目、…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。







  1. 上橋菜穂子

    闇の守り人
  2. 小説

    千里眼 The Start
  3. バイロン・ケイティ

    ザ・ワーク 人生を変える4つの質問
  4. 小説

    万能鑑定士Qの事件簿 I
  5. ビジネス書

    WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可…
PAGE TOP