ノンフィクション

人が自分をだます理由:自己欺瞞の進化心理学




はじめの一行

序章

【部屋の中のゾウ】名詞。認めたくない、話したくない重要な問題。社会的なタブー。
【脳の中のゾウ】名詞。重要だけれど知られていない心の働き。内省的なタブー。

著者のロビンが初めてゾウを垣間見たのは一九九八年だった。
それはカリフォルニア工科大学で抽象経済理論の博士課程研究を終えたばかりで、二年間の特別研究員として医療政策に焦点を合わせ始めたころだった。まず彼は一般的な疑問に目を向けた。どの医療が効果的なのか?なぜ病院と保険会社は現在の方法で運用されているのか?そしてどうすれば制度全体の効率を上げられるのか?

人が自分をだます理由:自己欺瞞の進化心理学(ロビン・ハンソン, ケヴィン・シムラー) 

ご覧の通り、今ひとつピンとこない書き出しで始まる本書(笑)
このあと、人の不合理な行動パターンを見て愕然とした、という話に続きます。

私が本書を手にとった理由はどちらかというと書き出しというよりも、帯のインパクトでした。

儀式みたいにムダな会議。予防するより高額医療。宗教の不可思議…etc.人間はなぜ「不効率な行動」をするのか?不効率な行動をするのは「脳のなかのゾウ=隠された動機」のせい。AIと経済学の気鋭研究者が進化心理学からときあかす「戦略的不合理」の真相。

このあるある感に引き寄せられて本書を手にとりました。

本書の内容

人は自分をだまそうとする

本書の中で最も印象的だったのが、こんな記述です。
BMWのCMは、それを欲しいと思い、変える資力を持った人だけでなく、BMWに乗れる人をうらやましいと思える人にも届けなければならない。
ちょっと皮肉っぽい話ですけど、なるほどな、と思ったわけです。

高級車って、移動手段としてはまちがいなくオーバースペックな部分が多い。
それでもあえて、高いコストをかけてそれを手に入れようとする感覚は、実は「他人からの羨望」を買っている可能性がありそうです。

そしてそれを人は、もっともらしい
「エンジンがいいから」とか、「装備が快適だから」とか、まあいろんな理由で「自分を欺く」のです。
人にうらやましがられたいからBMWを買うのではなく、スキだから買う、というロジックの中に行動を当てはめようとします。
しかし、実際のところはどうでしょうか。
誰ひとり、BMWという車に見向きをしないとしたら、果たしてその車を買うでしょうか。

本書の内容の基本的スタンスはこういった考え方になります。
人は自分の本心に従うというより、他人からどう見られたいかという基準で行動しがちである。
そして、その本心を巧妙に隠して、本人はあたかももっともらしい別の理由でそういった行動をとるかのように思い込まされている、というのです。

自分の人生を見直してみる

本書のコンセプトは皮肉にあふれた内容ではありますが、たぶん事実じゃないかと思います。
そうやって考えたときに、「じゃあ、本当は何が望みなのだろうか?」と自分に問いかけることがとても大事になってきます。
お金持ちになりたいという淡い夢があったとして、それは果たして、誰得なのでしょう。
まあ自分が得なのには違いありませんが、お金持ちとして羨望のまなざしを受けるためにそれを望んでいるのだとしたら、お金持ちになってもきっと満足はできないでしょう。
本当はお金が欲しいのではなく、注目されたいのです。
お金持ちグループの中に入って、次はそのグループでの羨望を望んで行動を始めるのではないでしょうか。

これは、向上心と紙一重。
なんにしても、自分との対話をしっかりしておかないと、おかしな方向へ行ってしまいそうな気もしますね。

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