ビジネス書

20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす




はじめの一行

プロローグ「あなたはスピーチを何もわかっていない」

それは私が、初めてスピーチ大会に出場した2013年の事でした。
ニューヨーク州の予選を順調に勝ち抜き、準決勝に臨もうとしていた時、観客の中にいたベテランらしき黒人の中年女性が近づいてきました。

「はーい、私はジャニスよ。あなたのスピーチには可能性を感じるわ。ファイナリストになりたいなら私が見てあげるからいらっしゃい」

20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす(リップシャッツ信元夏代)

 

あまりにドラマチックすぎるこのプロローグ。
まるで小説や映画のワンシーンのようです。
そもそもタイトルの「あなたはスピーチを何もわかっていない」なんて、
ハリウッド映画のワンシーンのようじゃありませんか。

このページを読んだら、もう次が気になってレジに並ぶことになってしまいました。

本書の内容

コピーライティングの教科書と思いきや…?

このシンプルな表紙も、私は結構気に入っています。
ただ、本書のタイトル、私はコピーライティングの本だと勘違いしました。
コピーライティングの世界というのは、たくさんのメッセージをコンパクトにしようと、常に腐心されています。
そういう本かな、と。

しかし、実際に読んでみると、主にスピーチの本。
スピーチやプレゼン、セミナーや講演。
そういったときの話の組み立て方、といった内容であるように思います。

そのなかで、20字にそぎ落としたメッセージというのは、まさにその中心にあるテーマ。
これをまず作り上げて、話は常にそこに返ってくるよう組み立てる。
非常に大雑把に説明すると、本書の内容はそんな感じの本です。

なぜ、言いたいことが伝わらないのか

著者は、多くのスピーチが伝わらない理由に、「多くのことを伝えすぎている」といいます。これを絞り込む。それも20字という少ない文字に絞り込むことで、相手が話の本質を受け取りやすくなるといいます。プレゼントスピーチは整理術である、と言い切っています。

そして伝わらないつぴーちの二つ目のポイントは、自分視点であるということ。これを、主語を相手に変える、視点を相手に変える、ということをするだけで随分と聞き手が引き込まれるスピーチに変化します。そして三つ目には、簡単・簡潔・明瞭ではない、ということ。これを解消するのに、KISSの法則というのを覚えておくとよさそうです。

KISSの法則というのは、Keep it simple,Stupid/Keep it simple,Shortといい、短く、わかりやすく、簡潔に話せ、ということを提唱しています。さらに本書では、Keep it sinple,Spesificを加えています。シンプルかつ具体的を心がけることで、簡単・簡潔・簡明に話せということをすすめています。

ほかにも技術的な解説はありますが、この程度にしておきましょう。そしてここでの一つの結論めいた話をご紹介すると、スピーチは相手をうごかしてなんぼ、ということ。つまり、単なる情報伝達ではない、といいます。となると、頭に訴えるというより、心に訴える必要があります。それは例えば、素晴らしい商品紹介をすることが目的ではなく、その商品を手にしたあなたがどんな素敵な未来を手に入れるかをイメージさせることが大事。このように、感情を動かさないスピーチにどの程度の価値があるのでしょうか。そういった最終目的をイメージしながら、スピーチを考えていく必要があるのではないか、と問題提起をしています。

相手を動かすスピーチ、三つのステップ

STEP1 聞き手視点の情報整理

まずは聞き手との距離を縮めるために、聞き手との共通点を探します。
そのときに有効な質問が4つあります。
①聞き手は誰か?
②聞き手のメリットは?
③聞き手になぜ自分が話すのか?
④聞き手にどう行動してほしいのか?

どんな人を前に話、彼らが得ようとして自分が与えられるものは何か、さらにはほかでもない自分がその話をするのにふさわしい理由は何か、さらにスピーチ後に聞き手がどう変化していてほしいか。
とくに④については筆者は一番先に考えるといいます。
その際に参考になるのが、PAINTの考え方。
Persuade 聞き手を説得したいのか
Action 聞き手に行動してほしいのか
Inspire 聞き手を啓発したいのか
Notify 聞き手に通知したいのか
Think 聞き手に施行してもらいたいのか。

これだけを明確にしただけでも、スピーチの輪郭がはっきりしそうですね。

STEP2 何を伝えるのか

いよいよここから全体の構成を考えます。
本書ではそのテンプレートが用意されており、それを9段階構造と呼んでいます。
ざっくりした構成をご紹介します。

①オープニング
・バーン
最初の7~30秒でぐっと相手を引き込む
・プロミス
聞き手にどんな良いことがあるかを明確に示す
・ロードマップ
話が進んでいく道筋・順序を示す

②第一ポイントへの移行

③第一ポイント

④第二ポイントへの移行

⑤第二ポイント

⑥第三ポイントへの移行

⑦第三ポイント

⑧終わりへの移行
・シグナル
・Q&A
・クロージングへの移行

⑨クロージング

簡単に言うと、「移行」というのは、大きなポイントそれぞれはあくまで点であり、その点と点を結ぶ流れを作ることを言います。また、最も重視するのがオープニング。インパクトのある話を冒頭にもってきて、何が得られるかを伝え、全体像を伝える。ここにかなりのエネルギーをつぎ込む必要があり祖です。

さらに本書内では、GPSシートという、これらの構成を作るにあたって、自身の考えを整理するツールが紹介されています。質問に答えていくだけで、スピーチの全体像が出来上がる優れもの。関心のある方は、是非本書をチェックしていただければ、と思います。

STEP3 どう心をつかむのか

スピーチの達人は例外なくストーリーを重視するといいます。
単なる情報の塊より、ストーリーに乗せて伝えられたほうが圧倒的に印象に残るといいます。
確かに経験的にそれは納得できます。

しかし、ストーリーといっても・・・とちょっとしり込みしそうになりますが、実は前述の9段階構造には、自然とストーリー性をはぐくむ仕掛けがあるのだとか。
本書では「モールエスカレーター方式」と呼ばれるストーリーの技法が紹介されています。
これは、興奮と安定の繰り返しを経ながら、徐々に興奮度を増していく、というもの。
本書においては、映画『タイタニック』を例に説明されています。
・氷山にぶつかりボイラー室浸水(上昇)
・上層階はまだ事故に築かず優雅なシーン(安定)
・2階も浸水し始める(上昇)
・キャプテンは楽観視(安定)
・手錠につながれたジャックの部屋にも浸水が始まる(上昇)

・・・ということで、上昇というのが興奮度の上昇を示しています。
上昇し、安定し、を繰り返し、だんだんと上り詰めていく。
こういったストーリー展開をモールエスカレーター方式というそうです。
そしてこの上昇と安定のコントラストを、9段階構造は内包しているのだということです。

さらにはストーリーの三幕構成が説明されています。
第一幕では、登場人物の紹介や状況設定があり、第二幕では危機にさらされ、大団円となります。
この二幕がキーポイントで、ここで人はコンフリクトをおこします。
その原因が、
Failure 失敗
Frustration 不満
First 初めての体験
Flaw 欠点
という4つのFといわれています。

これらをどうスピーチの中に組み込むかは腕の見せ所ですが例えば、製品発表会であれば「このような理想を掲げて開発に着手したものの、こんな問題で全く開発が前に進まない時期があった。それを私たちはこう脱した」なんていう話がはいるだけで、ぐっと引き付けられるかもしれません。

このあたりのところも前出のGPSシートのサポートがあるので、比較的てがるに作れるようなサポートがなされています。

あちこちへ話が飛ぶと、伝わらない

正直、私が話をする場合、よくあるのは話があちこちへ飛ぶということ。
飛ぶこと自体はまあいいとしても、どこに戻ってくるかを決めていない。
だからふらふらとして、たぶん聞いた人は「パーツごとに面白いネタがあったとしても、全体として何が言いたいのかよくわからない」ということがあったかもしれません。
そこで、ほとんど完成していた講演の原稿をいったん見直してみました。

中心の骨組みとなるテーマを20字で作り上げ、常にそこに返ってくるように組み立ててみると・・・
ああ、なんかまとまり感のある内容になったような気がします。
実際にスピーチするのは10日ほど先になりますが、結果が楽しみです。

決して難しいことは書いていないのですが、意識しておくと、失敗が回避できそうな一冊。
話をする人、文章を書く人には、お勧めの一冊です。

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私も契約して、どうしても参加しなければならないつまらない会議の時には、
これをiPadでぱらぱら見てます(笑)
メジャーな雑誌はけっこうそろっているので、おすすめです。




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