七尾与史

ドS刑事 さわらぬ神に祟りなし殺人事件




はじめの一行

1

テーブルをはさんで代官山脩介は一組の男女と向き合っていた。
ガマガエルはともかく、その隣に着席している女性の気品と美しさに言葉を失った。といっても年齢は五十を超えているのだろうから、代官山よりずっと年上である。整った目鼻立ちや白磁を思わせる白い肌、そして漆のようにつややかな黒髪は彼女の娘に受け継がれている。娘には間違いなく母親の遺伝子が強く影響している。むしろガマガエル顔の父親は血がつながっていないのでは、とさえ思える。

ドS刑事 さわらぬ神に祟りなし殺人事件(七尾与史)

本作のような人気シリーズとなると、始まり方というのはけっこう頭を抱えるのではないかと想像します。
というのも、初めて読む人にはしっかりと登場人物の個性を伝えなければいけない反面、常連さんにとってくどくなってはいけない。
ということで、だいたい主要な登場人物はかなり早い段階で出てくるのが一般的だと思います。
そして本作の一行目にはすでに、ヒロインのおとも(?)をする、代官山が登場です。
常連さんはホッとして、そうでない人は人間関係のプロファイルを作っていく。
そういう時間を与える描写のように感じられます。

本書の内容

いつものドS刑事なんだけど・・・

このドS刑事というタイトルを見て、どんなイメージを膨らませるでしょう?
私がはじめに期待したのは、ちょっとエッチなシーン(笑)
しかし、シリーズ通じて、そんなシーンがあった記憶がありません。
じゃあなぜドSなのか、というと主人公のマヤが「死体好き」だからです。

死体好きと言ってもそれと絡むわけではなく、殺人現場に芸術性を求めるとか、
そこで見つけた証拠品を打ちに持ち帰るとか、
まあそんなかなりディープなドS振りなわけです。

しかも、マヤを慕う浜田という警察キャリアはいつも額に血をにじませたガーゼを貼っています。
なぜなら、マヤの強烈なデコピンが治りかけた傷をまたひどくさせるから。
ああ、今回は手の骨もおられてたっけ・・・。
まあそんなハチャメチャな人間関係というか、性癖というか、そんなシャレにならないドS振りがあるわけです。

「つまらない」殺人事件

このシリーズではいつも、映像化してほしくないようなエグイ死体が出てきます。
しかし、今回ばかりはそれはなし。
そのことで、マヤはあまり機嫌がよくありません。

その代わりと言っては何ですが、犯人へつながる道筋がけっこう複雑だったと思います。
ミステリーとしては秀作だけど、ドS刑事シリーズとしては地味、と言えるかもしれませんね。

私的にはこのシリーズにはもう少し軽いテンポを求めているのですが、こればっかりは作者の意図。
後は好き嫌いの問題なので、勝手なことは言えませんが、ドS刑事シリーズも回を増すごとにだんだんと重くなっている印象を受けます。

だんだんとマヤのプライベートな部分だったりとか、過去の知人とかが出てき始めているので、益々重い話になっていきそうな気はしますが。
次とか、その次辺りには、なぜマヤがこれまでしたいに関心を示すようになったか、なんて話も出てきそうです。

ただまあ、読んでて面白いのでたぶん、次も買うと思うんですが。

 

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