ビジネス書

売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する




はじめの一行

まえがき

マーケティング発想で、「販売が不要」になる

日本のビジネスパーソンは、正しい売り方を全く知らない人ばかりだ。
これが、会社に閉塞感が漂う大きな原因の一つである。
セールスの達人と言われる人も、例外ではない。

ある会社で、営業責任者が社長に就任した。
彼の口癖は「数字は人格」「セールスが一番偉い」。
社員には「大事なのは売上。今期売り上げに関係ない活動はやめろ」と厳命。
目標達成が厳しくなると社内会議はすべて中止し、全社員が売り子に駆り出される。

売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する(永井孝尚)

近影などを見てもどことなく優しそうな著者。
Twitterなどに著書を紹介すると、必ず感謝のコメントをつけてくださいます。
そんな著者がまえがきでいきなり、営業至上主義にガツンとパンチを浴びせる。
勝手な想像なのですが、たぶんこのかたは、営業(による社会の不都合)を根絶することにすごく強くコミットしているように感じます。
そんな思いが現われているまえがきです。

本書の内容

「売らない」というコンセプトで集めたマーケティング事例集

非常にシンプルに言うなら、本書は「売らない」という切り口で集めたマーケティング事例集。
いつもの永井氏とおなじで、非常にわかりやすいし、ポイントが整理されています。
こういった話も、だんだんと単なるマーケティング手法の一環として売らないという話から、会社としての効率性を考えて売らないという戦略までが出現し始めています。
たとえばあるファッションブランドは、町中にあるお店は試着専用。
種類は沢山あるけど在庫はもたない。
だから店員は、在庫の扱いに時間を割かれることなく、顧客対応に集中できる。
こういったリアル店舗のあり方が、近年のテクノロジーの進化や、顧客の行動パターンの変化から起こり始めています。

たぶん、10年前に同じコンセプトの本を出すなら、マーケティング戦略上の「売らない」だけだったのでしょうが、今回はちらほらと見えるのはビジネスモデルとして売らない選択をとる企業がいくつか紹介されています。

いくつかの本に通じるポリシー

かのドラッカーは、マーケティングがしっかりできれば、営業は不要になる、と言ったそうです。
本書に限らず、永井氏の本はすべて、そこへ向かっている者と私は理解しています。
もちろんまだまだ、営業がお客様の背中をそっと押すことは重要であるのは間違いありません。
また、営業を全否定するつもりもありません。
ただ、営業がお客様にプレッシャーを与えてかわせる職業という旧来の考え方を根絶すべし、という考えにおいて、私は永井氏の肩を持ちたいと思っています。

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