小説

万能鑑定士Qの推理劇I




はじめの一行

遡ること五年

旅客機の客室乗務員を務めていると、地上のニュースには疎くなる。
つい三か月前に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併した。直木賞をとったのは東野圭吾の『容疑者Xの献身』。カトゥーンの『Real Face』が大ヒットしていて、国内のどの空港に降り立っても耳にする。認識している世の動静はそれぐらいだった。
二十七歳になったばかりの稲月璃音は制服の上にエプロンをつけ、コーヒーセットを積んだカートを押しながら、調理室から客室へと歩き出した。

万能鑑定士Qの推理劇I(松岡圭祐)

全部読み終えて、このはじめのシーンに戻ってくると、「ああ、ここからはじまったんだ」とけっこう感慨深いものがあります。
それぐらい物語はこのシーンから遠く離れて、違う世界を見せてくれます。
このシーンは、というと、主人公凛田莉子が波照間島から上京するシーン。
前の作品である、万能鑑定士Qの事件簿のはじめに話が戻っています。
従来からのファンはここで、過去へのノスタルジーに浸り、初めて読む人はあらすじをつかむ。
そんなシーンでしょうか。

本書の内容

御前鑑定

今回は、いろんな展開から、凛田莉子がイギリス王室での宝石鑑定(大会?)に出場するというとこに話が行きます。
まあ、その過程にもちろん、いろんな流れがあるのですが、もう本当にあっちに行ったりこっちに行ったり。
相当揺さぶりをかけられます(笑)

私のように大雑把な人間でもそんな話についていけるのは、それだけ、しっかり話が整理されているからでしょう。
しかも章立ては比較的短い単位で木々られていて読みやすいし、ついつい次を読みたくなるような余韻が各章の終わりにはあります。

いつもの通り、雑学知識は抜群で、それを活用して次々と物事の真相に近づいていきます。
今回私が一番驚いたのは「インターカラー」と呼ばれるところで、2年後の流行色というのが「決められている」という事実。
まあこれを利用して悪事を働こうとした輩がいるわけですが、「今年はこの色が流行る!」というのは、2年も前から決まっていたなんて・・・。

それ以外でも莉子の雑学パワー炸裂です。
これを書いてる松岡さんってどういう情報収集してるんでしょうね・・・

α登場

もうひとつ、松岡圭祐さんフリークにとってはちょっとうれしい、別シリーズのキャラ登場です。
あの添乗員αが、ちょい役で出てきます。
ちょっとだけ莉子を助けて去っていきます。
いやー、こういうの、個人的に大好きです。
松岡圭祐さんの本ではよくある話ですが、私が見た範囲では別のストーリーのキャラとはみんな仲良くやってるようですが、ケンカを始めるシーンも見てみたい(笑)

ということで、今後に期待ですね。

・・・ということで、本のあらすじにはほとんど触れませんでしたが、ざっくりまとめておくと、まずは莉子の状況シーンから。
そして割と壮大な詐欺事件を莉子は解決していきます。
これだけ?って感じですが、断片的にでもお話しするとネタバレになりそうで・・・。

あ、小笠原との関係は・・・
1mmくらいはちぢまったでしょうか・・・笑

 

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