小説

全身麻酔




はじめの一行

朝の手術室

真っ黒な窓のない部屋に、パチパチとスイッチを押す音が響いた。突然照明が灯り、室内が一気に明るくなった。
一月十一日午前七時、天井か壁が吹き飛ばない限りは、太陽光が永遠にはいらない手術室の夜明けだった。
夜を沈黙の中に過ごしてきた冷たい壁。天井からアームで吊り下げられた無影灯。室内照明で浮かび上がった手術用特殊ガラスレンズ面はかえって暗く、深海の色をたたえて沈黙している。

全身麻酔(霧村悠康)

なんとなく手術室のどことなく重く、冷たい雰囲気というか、何かが漂っているかのような独特の空気感が表現されているように感じました。
ここで何がおこるのかはわからないけど、何かが起こる。
そんな舞台設定をはじめの数行で表しており、無機質な手術室だけが、そこで起こる事を知っているというかどこか擬人化された存在のように見えてくるのは私だけでしょうか・・・

本書の内容

手術室で起こった事件

本書の話は非常にヤヤコシイ(笑)
話がどんどん膨らんでいくのです。
さわり部分をご紹介するとこんな感じです。

まず、2人の患者が取り違えられて手術が行われました。
そのうちの一人は、麻酔のミスで意識があったと言います。
その意識がある中で、医師たちは本人に意識がない前提で会話をしています。
手術室で起こる医療ミスで危うく死にそうになったという話。
自分がガンで、けっこうひどい状態だという話。
そして切り取った帳の内容物がもれて、体内を汚染したという話。
極めつけは、自分は別の患者と取り違えられているという話。

まあそんな、いってみればギャグか!?とおもえるような話の連続なのですが、いたってまじめに話は進みます。

複雑にからみあった愛憎劇

そして、手術を終えた彼はそのないようを「小説」にしたためます。
するとそのリアルな小説は、様々な波紋を呼びます。

ところで、単なる「ミス」の積み重なりだと思っていたこれらの医療事故。
どうやら作為的なものが動いているらしい。
そう思う人が出てくるわけです。
そして、その真相を究明していくと、出てくる話はなんとまあ、驚くべき結末に・・・

ということで、医療サスペンスなわけですが、設定はあまりにも荒唐無稽。
だからどことなくコミカルにも見えてしまいますが、ストーリーはいたってまじめ。
複雑な謎が絡まっています。

分厚い一冊も、飽きさせずに読むことができました。
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