ノンフィクション

悪の脳科学




はじめの一行

喪黒福造の「誘惑の悪魔」としての手口

ドイツの文豪・ゲーテがその生涯を捧げたといわれる戯曲『ファウスト』に登場する誘惑の悪魔・メフィストフェレス。彼と比べても喪黒福造は見劣りしない。ターゲットとして狙いを定めた人々を陥れるまでの知略と悪辣さは際立っている。
メフィストフェレスの誘いに乗ったファウスト博士は最後、悪魔に魂を奪われるところをかつての恋人・グレートヒェンの祈りによって救済させる。

悪の脳科学(中野信子)

本書は「誘惑」が一つのテーマかもしれない。
というより本書の中心には喪黒福造がいます。
その解説本というのが、最もしっくりくる本書のイメージ。
それをゲーテを引っ張り出してくるあたりの演出は、著者の一つの持ち味なのかもしれません。

本書の内容

笑ゥせえるすまんの解説書

冒頭でもいった通り、本書をひとことで紹介せよ、と言われればこう言います。
笑うせえるすまんの解説書である、と。
本書においては、いくつかの喪黒福造が人の「心の隙間に付け入る」テクニックを切り出して、脳科学的見地から中野氏が解説した本と言えます。
それ以上でもなく、それ以下でもない。

だから、何か具体的な知識を得るとか、
何か今の仕事の役に立てるとか、
何かの人間関係の役に立てるとか、
そういう目的を持って読めば、そういう役立て方もできるかもしれません。

しかし、実際のところはそれよりむしろ、娯楽的要素が大きいと思ったほうがいいと思います。

本書の中には、笑ウせーるすまんの漫画が一部掲載されていて読みやすくもありますし、後半戦は藤子不二雄A氏との対談もあります。
だからすらすらっと読めてしまう娯楽本という位置づけがいいのではないかと思います。

こころのすきまをうめます

さて、本書の中で中野氏がべた褒めなのが、喪黒福造の名刺にあるキャッチコピー。
こころの隙間を埋めますよ、というもの。
確かにこれは、素晴らしいと言えるかもしれません。
連載が始まったのが1960年代後半とか、1970年代前半とかいう私がまだ生まれて間もないころの話です。
当時の様子はリアルには知らないわけですが、ちょうど大阪万博だとか、東京五輪だとかで今以上の盛り上がりを見せていた上昇気流の時期だったのではないでしょうか。
そんな時期に「心に隙間を持つ人」というのはもしかしたら、その上昇気流に乗れない人なのかもしれませんし、そういった世界に背を向けた人かもしれません。

それにしても、一定数そういう人がいたというのは間違いないのでしょう。
それが時を経て1990年代によみがえり、アニメ化されていくというのはどの時代においても、人の心には常に隙間があるからなのかもしれません。
本書を読んで、笑うせえるすまんが読みたくなってきました。

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