ビジネス書

平安保険グループの衝撃―顧客志向NPS経営のベストプラクティス




はじめの一行

訳者前書き

いまや、中国企業は顧客体験のモデルケースに
日本では金融庁が主導して「お客様本位の業務運営」をすいしんしていることもあり、金融業界を中心に顧客体験の重要性の認識はすでに広がりつつある。しかし一方で、多くの企業ではいざ活動を始めてみたものの、どのような方向を目指せばいいのか、どうやって達成すればいいのか、わからず困っているという声が増えてきている。

平安保険グループの衝撃―顧客志向NPS経営のベストプラクティス(ジャーイン・シュ, チャン・ホン)

日本企業はうろたえている。
そんな様子を少しマイルドな表現でかいているような気がします。ある意味、読者の痛みを一番初めに持ってきている点は定石と言えるかもしれません。

本書の内容

日本の金融の顧客不在さ加減

日本の金融・保険の世界では、顧客の意向をおもんばかる習慣はないに等しい、と私は考えています。
たとえば、ある人に聞いた話によると、保険会社の中でまともな「マーケティング部門」は存在しない、というのです。
つまり、まさに顧客の声に耳を傾け、そういった中から自分たちの戦略を生み出す習慣はないようです。

先日も、かんぽ生命問題というかたちで、無理なノルマで不正な契約が量産されている風景がメディアに問題にされました。
また、SNSでは損保ジャパンの顧客対応の問題が拡散し、炎上しています。
これに関して言えば、業界の常識からすれば間違いではない部分が多かったと思うのですが、顧客の常識とはズレていた、という事です。
そして何十年も、その常識を埋めようとはしなかった業界と言えるでしょう。

そのルーツは恐らく護送船団方式があったと思います。
良くも悪くも、保険会社は勝手をできなかったし、お上の言う通りやっていれば倒産しなかった。
そんな歴史が長い中で、商品開発も、会社の戦略も、お上だけをみてやってきた背景があるんだと思います。
すると当然、お客様とのギャップはどんどん広まります。

しかし近年、お上がまともなことを言いだした。
すると、保険会社は理解不能の思考停止状態に陥り、まったく動けなくなってしまったと言えそうです。

本当の意味での顧客本位

本書で取り上げられる平和保険は何をやっているか?というと例えば、アプリを活用して顧客の不安を取り除いています。
それは例えば、医療事情があまりよろしくない中国において、平和保険の無料アプリをダウンロードすれば、医者の評判を知ることができます。
また、なかなか予約の取れない大病院への予約をアプリで代行してくれます。
さらには、テレビ電話を通じた、医師による簡易相談。
そういった本当に困っていることをアプリで解決した会社です。
そんなありがたい会社の提案、聴かないわけがありません。
つまり、まずはお客さんの役に立って、認めてもらってからセールスが始まる仕組みを作り上げました。

そんな話を日本の保険会社社員にすると、「日本と中国では状況が違いますからねぇ・・・」とつれない言葉。
いやいや、マネをしろと言ってるわけではありません。
そういった枠組みを考えなさいよ、と言ってもよく理解できないようでした。

こういった戦略を日本の保険会社や金融機関が理解できないとすると、その未来は危ういかもしれません。

 

おっと、表紙に書かれている「NPS経営」というのは、ネット・プロモーター・スコア、つまり「この会社のサービスを人に薦めたいですか?」というアンケートを取り、その指標をベースに顧客のロイヤリティを測る方法論です。冒頭にその説明はあり、本書全体を通してこの調査をもとに書かれています。

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