小説

高校事変




はじめの一行

1

総理大臣の最後の日課は、午前零時すぎ、私設秘書への電話だった。おやすみ、一言だけそう告げる。これで公邸にいる秘書が、番記者らに総理の就寝を伝えてくれる。せわしない一日はいつもこうして終わる。
昭和三十年生まれ、六十四歳の矢幡嘉寿郎総理は毎晩、渋谷区松濤にある私邸に帰宅している。官邸に隣接する公邸にいれば、出勤が楽になるのにとよくい言われる。矢幡は公邸を好まなかった。

高校事変(松岡圭祐)

この物語で、物語の中心にいる総理の一日の終わりの描写。
ここでは物語の片鱗はまだ見えませんが、お休みの言葉で秘書が番記者に就寝を伝えるなんていう仕組みがあるのか、とへーと驚かされる。
この辺りが松岡さん流なのかもしれません。

本書の内容

バイオレンス小説?

高校生が黄昏歩く表紙の後ろには、軍用(?)ヘリというカバー。
私の眼には、女子高生の姿が印象的過ぎて、ちょっと変わった青春ドラマか?と見まがってもおかしくない印象があります。
私自身、松岡圭祐さんの作品は今ちょうど、万能鑑定士Qの事件簿、つまり人が死なないミステリーを読んでたりします。
だからちょっとぬるい感じのところにいたのですが、本書で一気にバイオレンスな世界に引き戻されました。
いうなれば、「千里眼」の岬美由紀の世界です。

ストーリーは、保身ばかり考える総理が、あるきっかけで高校を極秘に視察訪問することになります。
セキュリティの関係から、事後。
つまりごく一部しか知らなかったはずの高校訪問中に、テロリストらしきものたちが学校を封鎖。
いきなり生徒たちの半分を殺傷し始めます。
彼らの目的もわからぬまま、身を隠した総理。
また、学校に居合わせた主人公、優莉結衣もまたそんな渦中に巻き込まれる。

主人公結衣の父は、半グレ集団をまとめ、テロ行為のようなことを繰り返した犯罪者。
すでに死刑になっているものの、社会はその娘である結衣を持て余していた。
結衣は日ごろは決してその本性を現すことはないが、このような非常事態において信じられないような能力を発揮する。
ざっくりしたストーリーはそんな感じです。

映画へのオマージュ

本書の中では、セリフの中に古いアクション映画のタイトルがけっこう出てきます。
割と有名なところでは、ダイ・ハード。
私が好きな映画では、ザ・ロック。
それらにおいては、映画の世界がどれだけ都合よくできているか?という話の流れで出てくるのですが(苦笑)

まあ、ハリウッド映画って凄腕のハッカーが、ドアを難なく開錠したりしますよね。
あんなことは起こらない、とテロが起こる学校の中で語ってます。
そんな話が個人的なツボでした。

ということで、けっこうな人数の人が死んでしまう本作。
白松岡と、黒松岡があるとしたら、黒のほうのハードな作品。
気になる方は是非読んでみてください。

文庫本で448ページとのこと。
分厚い本ですが、100ページ超えたあたりからノンストップであっという間に読み切ってしまいました。

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