天外伺朗

「人類の目覚め」へのガイドブック 「実存的変容」に向かう小さな一歩を踏み出そう




はじめの一行

まえがき

はじめて聞いた方は少し戸惑うかもしれませんが、人類社会はいま、ある一つの大きな波に直面しています。それは、人によっては、希望にあふれた「人類の目覚め」に見えます。しかしながら、今までの社会秩序が崩れますので、大災害をもたらす津波とみる人もいるでしょう。
この大きな波というのは、具体的には人類全体が意識の変容の、きわめて大きなステップを上がることを意味しています。たかが、意識の変容と思われるかもしれませんが、今まで何百年もの間、人々が固く信じて疑わなかった常識が次から次へと雪崩のように崩れていくことが予想されるので、社会の大きな混乱は避けられないと思います。

「人類の目覚め」へのガイドブック 「実存的変容」に向かう小さな一歩を踏み出そう(天外伺朗)

天外伺朗さんの本の前書きは、大体長いです。長いのですが、それを読めばまあ大体ほんのようやくというか、その本における結論めいた話が感じ取れます。そういう意味では、読書感想文の宿題を言われたらこの本を課題本にするち非常に楽なんですが、読書感想文としてはあまり評価されそうにない内容なのが悔やまれます・・・苦笑。

本書の内容

実在的変容とはなにか?

スピリチュアルの世界では、よく、アセンションという言葉が使われています。次元上昇とか、いろいろ言い方はあります。これは言ってみれば今までの常識とは違う常識で生きる人たちが増える。持っている波動が高まる。いろんな表現はありますが、本質的な欲求に向かって生きていく、ワクワクに向かって生きていく、という感じでしょうか。

こういったことを、本書では学問的な研究を参照しながら見ていきます。天外さんが言う「実在的変容」の一つ手前のレベルについては、たとえばK・ウィルバーであれば、「後期自我」、ロバート・キーガンでいうところの「発達段階4」といったところと結び付けて説明しています。ロバート・キーガン博士によるとこの層は人口比率20%とのこと。そして天外氏は、日本社会の上層部はほとんどこのレベルだといいます。

ところが、ロバート・キーガン曰く「実在的変容」を超えて「発達段階5」に達した人の割合は約1%といいます。つまり普通に暮らしていると、そういったお手本と出会えるケースはまれ。そのサポートを天外塾というワークショップの中で提供しているわけですが、そのエッセンスを本書にしたためた、というのがこの本の来歴。

そして、天外さんが考える実在的変容というのはどうやら、心の奥底不覚に眠る自分の本質的な人格を呼び起こすことのようです。そのための具体的な方法も書かれていますので、少しずつチャレンジしてみたいと思います。

いいも悪いもない

本書でいきなり出てくるのは「よし、あし」の判断を捨てよ、というもの。たとえば、今外では雨が降っています。雨にはいいも悪いもないのですが、私たちは雨、と聞くと即座に「うっとうしい」「天気が悪い」と判断してしまいます。これは結構危険なことで、良い、悪い、とだれが決めたかわからない価値観を受け入れ、自分で判断する間もなく勝手に決めてしまっているわけです。脳が判断するんじゃなくて、もはや脊髄反射ですね。

こういう判断(というか反射)をする背景には、「自己否定」が前提にあるといいます。なるほど、自分で判断するのではなくて、自分以外の誰かの評価と以下価値観をそのまま受け入れるのですから、少なくとも自分を尊重しているわけではなさそうです。じゃあその自己否定はどこから来るかというと、自己否定の強い親がそれをしつけとして子供に伝染させる、といいます。さらに言うなら、バーストラウマというものがあって、人は母親と一体で会ったところを、生まれる際に親から引き離されます。このひきはなされるときのかんかくが、自己否定として人の深層心理に巣食うのだ、ということもおっしゃられています。

この自己否定の思いは、自分を否定するのと同時に、外に対してはその真逆の自分を見せようと鎧を着こみます。自分を、大きく、立派に、強く、正しく、見せようと装うのです。そして自分が正しいということは、意見の違う他人は間違い・悪い、という判断になってしまいます。とうぜん、自己否定の強い人の人間関係は、割とすさんだものになりがちのようです。

ただ、じゃあ「自己否定はいけないもの」と決めてしまうのも早計で、自己否定は人を一生懸命にさせる効果はあるわけです。自分が自分に対して否定的な部分を外に見せないために一生懸命頑張るわけです。必死の努力で欠けた部分を補おうとします。これがいわゆる向上心なわけですから、自己否定が一概にいけないものとは言えないわけです。これがまさに、良いも悪いもない、ということ。自己否定は「あるもの」として自分にも自己否定があるな、と気づき、認めてあげることが肝要なのだといいます。

コントロール願望と自己否定

天外さんが言う実在的変容に至る前の人は、「こうあるべきだ」という思いと、「こうあってはいけない」という二極に分かれて激しく分離しています。この思いは自分に対して向けられるわけでなく、たとえば会社では部下に対して、子育てにおいては子供に対して向けられます。彼らは自分の考えをべき論で否定されるわけです。さらに、自己否定の強い人はあるべき論を人にも強要することで、自分が尊重されているかどうかを判断しますから、いわゆるマイクロマネジメントをやらかします。箸の上げ下ろしから言う通りにしないと気が済まないタイプですね。これは部下や子供の創造性や考える力を奪います。

経営やマネジメントに関して考えるとわかりやすいのですが、今の組織論のトレンドはすべてを管理するわけではなく、社員の自主性に任せる自主運営組織といわれるもの。その中でも、ティール組織というのが最近では有名だと思います。これを行うに際して、上司は自分の考えや想いと全く違う動きをする部下を許容する必要があります。おいおい、とつい手を差し伸べるところを、それをすることなく、やらせてみて、結果を体験させて、そこから改善案を考えさせるという流れが必要となるわけです。簡単に言うと、上司はチームのコントロールを手放す必要があるのです。

しかし多くの場合、それができない人が多い。それはつまり、リーダーの自己否定がそこそこ強いからなのだというからくりなわけです。こういったコントロール願望もまた、自分にそれがあるんだな、ということを発見し、見守るところが実在的変容への入り口となるようです。

失敗がなくなる「魔法の祈り」

失敗がなくなる、といってどんな印象を受けるでしょうか?何もかも自分の思い通りに行くことですか?天外さんの答えは少し違うようです。それはどういうことかというと、「どんな結果も受け入れる」ということなんです。もっと言うと誰のせいにもしない、ということ。

たとえば、交通事故でけがをして大事な商談をフイにしてしまったとします。この時に、きっといろんなことを責めると思います。不注意だった自分、けがをさせた相手、たまたま大事な商談の自己という不運なめぐりあわせ、こんなことで商談を中止した相手・・・。考え出せば、誰もが悪者になりえる話なのですが、こういった悪者探しをしないことを進めています。事故が起こったという事実、けがをしたという事実、商談をフイにしたという事実、これらを事実は事実としてとらえて受け入れる。結果に執着しない、というのが実在的変容のコツだといいます。いいも悪いもないのと同様、失敗も成功もない、というのです。

起こったことは起こったこととして受け入れ、失敗というレッテルを貼らない、ということ。

確かに人生とは面白いもので、あるタイミングて失敗だったと思ったことが、実はかなり後で起こる大きな成功の種だったというのはよくある話。何がどう影響するかは、最後に蓋を開けるまで分からないものです。それをどこかのタイミングでレッテルを貼ってしまうのは、もったいなくもある話なのかもしれません。

こまごました判断から手を放そう!

さて、本書には上記に紹介しただけではなくたくさんのヒントがまとめられています。その内容は多岐にわたりますが、ざっくりいうと私たちは日ごろ、あまりに近視眼的な判断をしている、というより反射的な感情に相当左右されているような気がするのです。そしてその感情というのがどちらかというと、結構偏っているわけです。その偏った判断から一歩引いた形でかかわり、自分を俯瞰してみてみる。このことで、染みついた判断と距離をとることができ、そこから始めて自分の本質的な部分が見え始めるような気がします。

それはそれで勇気のいることなのですが、もしも、実在的変容を遂げたいとしたら、一歩踏み出すためのまさにガイドブックとして本書は繰り返し読みたい一冊だと感じました。

 

いやーーー、読書ってすばらしいですね。

 

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