ビジネス書

2025年、人は「買い物」をしなくなる




はじめの一行

まえがき

ショッピング体験の発展で、人々は「買い物」をしなくなるーーー。

こんなことを行ったら、すぐさま「ありえない」と返されるかもしれない。人々の生活の中で、買い物は欠かせない経済活動の一つ。買い物なしでは、生活に必要な衣服や食材、電化製品も手に入らない。企業だって商売が成り立たない。そもそも「ショッピング体験をしているのに買い物が亡くなるとはどういうことだ」と矛盾を感じる人だっているだろう。

2025年、人は「買い物」をしなくなる(望月智之)

本書のテーマと言える内容を、どーーん!と提示する。このあたり、憎い演出だと思います。

本書の内容

「買い物」の面倒くささ

本書はまず、買い物というのが実に面倒くさいもので、多くの人がそれを潜在的に避けたがっているということを解いています。たとえば、買い物に出るためには、服を着替え、お化粧をし、それなりの準備を整えて外に出る。もうこのステップだけで面倒なわけです。たしかに、現在新型コロナウィルスの影響で、自粛生活を行っているケースも多いですが、一度ひきこもるとまたでかけはじめるのはけっこうなストレスです。逆に、コロナの影響下では「買い物もレジャーの一つだったんだな」とおもう一面もあるものの、面倒くさいものであるという一面も捨て置けません。これは私の個人的な考えですが、コモデティカした商品の買い物は面倒くさいけど、そうでない買い物はそうでない。

たとえば、本書ではあまりにたくさんの商品があるが故、人はそこから選ぶことに苦痛を感じるというような話があったと思います。すると、AIによるレコメンドを信じ、もうそれでええやん、となってしまうと言います。たしかに、汎用品はそれでいいのですが、自分の個性を主張したい例えば洋服選びは、AIに任せて無難に行きたい人と、気合入れて自分で選ぶ個性派とにわかれそうな気がします。買い物というものには、どうやら二種類ある、というのが私の考えです。

本書においては、たとえばサブスクの広がりや、メルカリによる「買っているのに所有しない」感覚。そういった中でも、たとえば「開封の儀」という言うものは相変わらず楽しみとしてあるし、リアルな体験を提供する店舗は生き残る。十把一からげに買い物がなくなるお言うことではなく、こだわりのない部分で買い物がなくなるという本書のテーマを切り分けしているシーンから始まります。

ショッピングの歴史

第二章に入ると、ショッピングの歴史についてのレクチャーです。戦後に百貨店と個人商店が伸び、スーパーの台頭につながります。チェーンストア理論による大型専門店が次々と登場します。しかし、本書の解釈としてはこの「ショッピング史」はすべて、お店の棚を奪い合う歴史だったと考えます。しかし、その「棚」がスマホの中に作りつけられたと言えます。そこには購買者のレビューがつき、焦点を通り越してメーカーが直接ユーザーとつながる流れができてきました。

販売経路がデジタル化されたことで、販売データはつぶさに分析され、商品開発にもそれは活かされます。購買情報をAIが分析し、そこから商品が改善され、また新商品が提案されるようになってくるシーンもあるようです。

モノ消費からコト消費へ時代は変わったと言われて久しいですが、ここにそういったコト消費的要素が絡み合うことで、マーケティングの世界は混とんとしてしまいそうです・・・

データドリブンは正しいか?

本書を読んだ印象として、すべてのもの、ことが高度に自動化され、分析され、無駄がなくなっていく世界観はよく理解できました。こういった未来を見る書籍は難しい内容になるものも多い中で、本書は非常にわかりやすく小売りの未来像を見せてくれます。あくまである一面を本書は見せてくれていると思うのですが、この本を読むにつれある疑問が頭をもたげてきます。データに裏付けられた商品開発は、たしかに失敗は少なくなるでしょうが、それが果たして爆発的なヒットを生み出すか、というと正直ちょっとそこは信用できない部分があります。というのも、どの製品ジャンルにも「あれもこれも、と欲張って素晴らしい商品設計」がなされていても、売れるとは限らないイメージを持っているからです。むしろ、いびつだからこそ売れる商品はけっこうあるんじゃないかと思います。その唐突感は、きっとデータドリブンな商品開発では難しいんじゃないかと思います。

私なりに感じた結論としては、購買者が面倒と思う買い物は、どんどん自動化され、AIのレコメンドが強い力を持つようになると思います。失敗しない買い物や、意識しない買い物というジャンルはそういった効率化がどんどん進むと思いました。一方、非合理な世界における買い物は、その限りではないということです。たとえば、まともには知らないクラッシックカーは相変わらず売れるでしょうし、データ分析上売れそうにないファッションアイテムも突如として売れることもある。事業者はどっちのビジネスにコミットするかで戦略が変わるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

いやーーー、読書ってすばらしいですね。

 

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