小説

13階段




はじめの一行

次を読みたくなる1行

高野和明さんと言えば、どの小説を見ても、かなりリアリティの高い描写が特徴ではないでしょうか。
恐らく本書も、ずいぶんと取材をしたうえで描かれていると思います。
そんな魅力だけでなく、やっぱり書き出しがドラマチックです。

死神は、午前九時にやってくる。
樹原亮は一度だけ、その足音を聞いたことがある。
最初に耳にしたのは、鉄扉を押し開ける重低音だった。その地響きのような空気の振動が止むと、舎房全体の雰囲気は一変していた。地獄への扉が開かれ、身じろぎすらも許されない真の恐怖が流れ込んできたのだ。
やがて、静まり返った廊下を、一列縦隊の靴音が、予想を上回る人数とスピードで突き進んできた。
止まらないでくれ!
ドアを見ることはできなかった。樹原は、独居房の中央に正座したまま、膝の上で震える指を凝視していた。

13階段(高野和明)

死神って何だろう?
午後九時?
どういう事だろう?

はじめの場面設定からして、次を読ませる工夫があるように思います。
読み始めそうそう、「?」を投げかける。

読者としては、疑問が出てきた以上、解決したくなるもので。
ついつい先を読み進めてしまう。
いわば、冒頭の「死神は・・・」のくだりはまさにキャッチコピーのような役割をしているのかもしれません。

まぁ、そもそも「13階段」というタイトルの意味、これはこれで気になりだすときになります(笑)
そういう意味では、いろんな読ませる仕掛けがあるように思います。

本書の内容

結論が明らかに

この本、カバーのあらすじにすでに結論が書かれています。
冒頭のシーンは、ある死刑囚のシーン。
でもって、カバーに描かれたあらすじでは、彼が冤罪であると言い切っています。

無実の男を助ける、という結論に向かって物語は進んでいきます。
刑の執行まで残された時間は、そう多くはない。
しかも、死刑囚には犯行時間の記憶がない。
そんな制約の中、この男の運命はどうなるのだろうか。

江戸川乱歩賞受賞というバッジも持っている本書は、なかなか読ませる一冊です。

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