小説

レインツリーの国




はじめの一行

1.直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな。

『……私にとっては忘れられない本です。
滑り出しはハチャメチャなSFアクション、しかも主人公たちは当時高校生の私と同じ高校生。おばかであけっぴろげで同じクラスにいそうなフツーの男の子たち。
それが特殊工作員顔負けの大活躍!謎の組織にさらわれたヒロインを取り返そうと敵地へ乗り込んで、ハチャメチャのムチャクチャを繰り返し、ついにハッピーエンド。

レインツリーの国(有川浩)

この出だしは、後に主人公とヒロインのつながりを生み出す「フェアリーゲーム」という小説の書評ブログの一節。
厳密にはじめの一行を取り出すと、「私にとっては忘れられない本です」となりますが、なかなかインパクトのある一行のような気がします。
その後の物語のつながりを考えても、けっこう練られた一行目のような気もしますが、考えすぎでしょうかね・・・

本書の内容

「青春菌」的ストーリー

さて、本書を大雑把に分類するなら、ラブストーリー。恋愛ものといえると思います。
若干普通のシチュエーションとは違うのですが、その一部はここでは伏せておきたいと思います。

出会いはあるブログ。
ヒロインであるひとみの運営するブログ、「レインツリーの国」に、主人公である伸は目が留まりました。
そこには自分がとっても気に入っている小説、「フェアリーゲーム」の感想が書かれていたからです。
実はこのフェアリーゲーム、なかなかに癖のある小説のようで、終わり方には賛否両論あったようですが、伸は周囲でその思いを共有できる友人はいなかったようです。
誰かと共有したいと思いつつも、だれも話題にできる人がいず忘れかけていたころ、このブログに出会いました。

そして、その内容に引き込まれ、共感する部分を頷きながら読んだり、そもそもこのお気に入りの物語の解釈にも似たような部分があったことに喜び、おもわずブログにコメントを入れます。
そこから、一読者と、ブログの主というかんけいからどんどんコミュニケーションは深まります。

・・・とまあ、「それな!」的展開ではあるのですが、登場人物の二人はお互いクサいメッセージを交換しながら、「青春菌におかされる」というテレカクシの言葉を発しながら青春してます。
そこに敬意を表し、この物語を私は、青春菌的ストーリーと呼ばせていただきます。

ただ、普通の恋愛小説と違う部分が一つあります。
そこについては、かなり重要なネタバレ要素が含まれますのでここでは語りませんが、読んでみた方はぜひ「あっ」という驚きを体験してください。

登場人物はほぼ2人

本書は薄い本で、軽く読めてしまう内容です。
また面白いのは、登場人物はほとんどこの伸とひとみだけ。
それ以外にそこそこ名前があって存在感を放つのは、伸にいいよる女の子ぐらいじゃなかったかと思います。
そういう意味ではすごく狭い世界で展開される物語なんですが、飽きずに読むことができるのはストーリーテリングのうまさでしょうか。

そんなこんなで、この物語の終わりは割と余韻を残し、読者の想像を掻き立てるものになっていますが、それはもしかしたら作中の中心にあった「フェアリーゲーム」という架空の物語へのリスペクトなのかもしれません。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

 

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