ノンフィクション

現代語訳 風姿花伝




はじめの一行

申楽と呼ばれる長寿延命の芸能。その起源を訪ねてみると仏在所(インド)より起こったという説、あるいは神代より伝わるという説などがある。しかし時移り代が隔たってしまったので、原初の姿を学ぶことはもはや叶わない。
近年万人にもてはやされているこの芸能は、推古天皇の御代、聖徳太子が秦河勝に命じて創作させたものである。

現代語訳 風姿花伝(世阿弥)

この芸能に関する解説から始まるという、とても基本に忠実な書き出しだと感じました。
すべてにおいて、本書の中身のことが実践されているといえるのかもしれません。

本書の内容

申楽における育成マニュアル

まず第一章を見てみると、年齢に応じたけいこのつけ方などが書かれています。例えば七歳がこの芸能に関する初稽古であるということが明記されています。この時には子供自身の創造性を重視し、やりたいようにやらせてみよ、と説きます。厳しくすることで子供のモチベーションを失わせないよう注意を払うべきことが記されています。

そして、十七、八歳あたりでは声変りを経験したり、子供特有の花が失われることもあるため、本人にとってはいろいろと悩む時期でもあるようです。そして、二十四、五あたりで生涯の芸風が定まり始めます。とはいえ、ここで有頂天になって名人ぶったりしがちになる。そして三十四、五でピークを迎える。

四十四、五になってくると、だんだんと年老いて花がなくなってくる。このころには後継者を育てることに力を注ぐ必要がるといいます。そして五十を回ったあたりで能を止めることを考える必要があるといいます。

ケーススタディとFAQ

その後、本書においては、様々な役どころごとの注意点や演じ方のコツなどが語られています。詳しくは割愛しますが、女を演じるときはどうあるべき、鬼を演じるときはこんなことに気を付けよ、などとかなり具体的な協議が書かれています。そしてその後に続くのはFAQ。よくある質問に丁寧に答えていきます。

まさにこれ一冊で、能を学び、教えるための完全マニュアルといえるでしょう。極秘資料として伝えられていたものであるというのがうかがい知れます。

これらを抽象化して考えたとき、やっぱり私たちが仕事やスポーツや趣味を学ぶ過程とよく似ていると思います。また、人を育てるにおいて、こちらの方にはめるというより、学びての人の状況に合わせて教えるという考え方がおそらく、当時の社会の中ではかなり独特の光を放っていたように思います。

あるいは会社の幹部研修などで一読を義務付けてもいいのかもしれませんね。

 

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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