小説

ブランコのむこうで

はじめの一行

1 ある日のこと

その日は朝おきた時から、なにかが起こりそうな感じがしていた。どんな風な感じかと聞かれても、ぼく困ってしまうんだな。でも、こんな時にはっきり説明できないのは、だれだって同じじゃないかしらん。
きのうと同じようにいいお天気だったし、天気予報も大雨や雪や台風のことはいってなかった。それに、ぼくの頭の中にある何か起こりそうな感じは、お天気に関するものじゃなかったんだ。自分自身についてのこと……。

ブランコの向こうで(星新一)

かなり直接的に「何かが起こりそう」という予感があって、何かが起こる。
わかりやすい展開なんですが、「ぼく」の子どもっぽい語りと、起こることと、冒頭の一行目から垂れ込める雲。初めて読んだこの一行を見て、私はニヤリとして、「お、いきなりくるか」と思いました。

本書の内容

誰も知らない国で

元々本書は「誰も知らない国で」というタイトルで発表されていたようです。1978年というから結構古いですね。ただ読んだ感じさほど古臭さは感じられません。それはSFというジャンルだからなのか、子供目線だからなのかはよくわかりませんが、意外とスムーズに世界の中に入ることができました。もともと星新一さんといえば、ショートショートのイメージが強い方。もともと私は本を読むのが嫌いでしたから、学生時代の夏休みの宿題なんかの定番の読書感想文においては、1度星新一さんの作品を題材にさせていただいたことを覚えています。あまり難しくない印象だったし、区切って読めるのがありがたかったのです。

さて、本書のストーリーは、ある少年が見つけた自分そっくりの少年。まさにドッペルゲンガーのような感じですが、彼を見つけたことをキッカケに主人公の少年は不思議な世界を旅します。これ以上詳しくはお話ししませんが、そんな次々と目まぐるしく変わる世界の中で少年は様々な体験をしていきます。

物語そのものはまさにファンタジーといった感じで、それこそ絵本でも診ているような内容です。ただ、深読みするとけっこう深い気もするわけです。たとえば、カモメのジョナサンやミヒャエルエンデのモモや、アルケミスト、星の王子様など、大人にも愛されているちょっとファンタジーな小説というのはいろいろありますが、そんなところに分類されそうな内容のように感じました。考えさせられる要素がけっこうあるんです。

また、この小説を読んでいて、知念実希人さんの「ムゲンのi」を思い出しました。シーンが次々変わっていくところなんかはすごくシンクロしていたような気がします。

(ムゲンのiのご紹介は以下のリンクより)

ムゲンのi(上)

ムゲンのi(下)

不思議テイストに浸りたいならおススメの一冊です。
ただ古すぎて入手が難しいのが難点ですが、私はブックオフで入手しました。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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