七尾与史

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件




はじめの一行

キャラ立ち

小説を書く際のセオリーだと思うのですが、登場人物のキャラクターというのが面白ければ、それなりにファンもつく。
しかし、キャラクターをあまりに現実離れさせすぎると、物語が軽くなってしまう。
そこのバランスというのは難しいものだと思います。

本書のもっともキャラ立ちしている登場人物は、ここに登場する黒井マヤ。
このあと小さな事件(?)がおこる中で、マヤのちょっと特殊な反応が面白い。
また、何でもないシーンに見えて、この話が実は後々物語の大事なピースになる仕立て。

黒井マヤ登場

新浜松駅に向かう遠州鉄道は平日の午前中の割にそこそこ混雑していた。座席はほぼ埋まり、それと同じくらいの数の乗客が通路に立ってつり革や手すりにつかまっている。
片山則夫は歯科医院のカルテと診療報酬明細書を作成するためのソフトを開発・販売する会社に勤めている。浜松営業所は本社と違ってスタッフも少ないので、社員一人一人がプログラマーも営業もこなす。
腕時計を見る。今朝は目覚まし時計をかけ忘れたので自宅を出るのがいつもより十五分も遅れてしまった。それでも出社時間にはギリギリ間に合うだろう。
片山は向かいの席に視線を向けた。先程から何度かそんなことを繰り返している。パンツスーツの若い女性が座っているのだ。二十代半ばといったところか。肩に落とした艶やかな黒髪が印象的だ。肌は対照的に色白で、目鼻立ちもそれなりに整っている。好みのタイプだ。
彼女は向かい側の荷物置きの上、つまり片山の真上の天井を見上げている。その方向へそっと視線を移すと車内広告が並んでいた。

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件(七尾与史)

本書の内容

最後までつながりが見えない殺人事件

刑事が主人公ですから、殺人事件が起こります。
しかも、連続殺人事件です。
ちょっと厄介なのは、その殺人事件の被害者同志に、どうも関連性が見えない。
そこがこの物語の中心になります。

殺人事件自体も、「火」による殺人にこだわっており、それが事件の重要なキーワードであるとは言えそうですが、その謎が解けない。
それを捜査していくわけですが、だんだんと迷宮に入っていきます。

その中で垣間見える、黒井マヤの変わった嗜好、彼女の卓越した推理。
しかし、マヤは自身の推理を明確にしない。
ミステリアスなマヤの不審な行動に気づいた、コンビの刑事は黒井マヤをつけることで事件解決のヒントにたどり着きます。
しかし、それも事件の全貌ではなかった・・・という。

まぁ、良かったら読んでみてください。
けっこうおもしろかったです。

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