夏目漱石

吾輩は猫である




はじめの一行

あまりに有名な書き出し

この本、多分日本で一番有名な書き出しで始まるのではないでしょうか。

吾輩は猫である。名前はまだない。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで初めて人間というものを見た。しかも後で聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕まえて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。ただ彼の掌にのせられてスーと持ち上げられた時なんだかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ち着いて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見はじめであろう。

吾輩は猫である(夏目漱石)

実は、このブログを作ろうと思ったきっかけは、まさにこの物語でした。
いきなり、「吾輩は猫である」から始まる小説。
やっぱりその一行目に秘められたパワーというものは、計り知れないものがあるんじゃないかと思ったわけです。

あともう一つあるのは、太宰治の「走れメロス」。
これも衝撃的です。
「メロスは激怒した」
という言葉から始まります。
これはこれで、またタイミングを見て取り上げたいな、と思います。

本書の内容

猫の視点

この本の斬新なところは、猫の視点から描かれているところだと思います。
猫から見た飼い主である書生や、彼と関わる人々の姿をどこか滑稽というか、ちょっと変わった視点で描写しています。

まあ、人間から見ればさほどおかしい話でもないことも、猫の視点を通すとどこかおかしい。
ある意味哲学的である、”吾輩”の視点はなかなか面白いもののような気がします。

擬人化した猫がでるとなると、たいてい猫が主人公になりがちですが、ざっくりしたスタンスでは主人公はやっぱり飼い主である書生なのでしょう。
この書生というのがまた面白く、あれやこれや新しい事をつまんでは、辞めてしまう。
まぁなんとも人間的というか、ありがちというか、その姿がほほえましくもあります。

実は、吾輩は猫であるは、今回初めて読みました。
滑稽な出だしだけは気になりつつも、なかなか読む機会もなく大人になってしまったわけで。
今読んでみると、活き活きと表現された登場人物の姿は、さすがだな、と感じさせるものがあります。

以前、「小説の書き方」的な本を読んだことがあります。
そこで強調されていたのは、登場人物の個性が明確に表現されている事が大事だという事。
そういう意味では、現実的だけどちょっと変わり者な主人公の人となりが、猫視点でよく描かれていると感じました。
やはり長年読み継がれる物語には、それに応じた力があるのかもしれません。

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