ノンフィクション

おじさんメモリアル




はじめの一行

エピソードからはじまる一冊

本書は、ジャンルとしてはエッセイとでもいうのでしょうか。
さまざまな「男」の悲哀(?)が詰まった本で、その書き出しはこんな府に始まります。

はじめに/おじさんの悪口

そのおじさんは、週に2回は錦糸町のラブホテルに1人でチェックインし、同じデリヘル店に電話をかけ、お気に入りのトップ3の女の子、もしくは新しく入店した一押しの新人を指名する。彼の特技は「催眠術で女をイかせること」。部屋に入ってお会計や店とのやり取りを終えた女の子は、必ずベッドの端に座らされる。そして彼の手を見つめてイッたふりをしておけば、服を脱いだりシャワーを浴びたりすることなく、もちろん男性器に触ることなく解放される。彼は10年ほど前に覚醒し、催眠の力に気づいたのだという。名前は、どの女の子が尋ねても「ルパン」としか答えない。

おじさんメモリアル(鈴木涼美)

読ませる工夫・・・というより、この手のエピソードはそれ自体がけっこう引力を発揮しますね。
著者は新聞記者でもあった事があるようなので、文章については様々な手法や知識を知っていると思うのですが、奇をてらわず(?)コンテンツ勝負の書き出しのように思います。

本書の内容

著者が出会ったオトコたち

本書の著者は、高校時代にはパンツを売り、キャバ嬢、風俗嬢、AV女優といった職業を経験しているそうです。
一方で一流大学を卒業し、新聞社に務めるなど、表(?)のキャリアも一流です。
そんな著者が、自身の体験から、また多彩な人脈から集めた、滑稽な男の姿が本書にはつまっています。

ちょっと変わった性癖というのはもちろん、人としてどうよ?という人。
正直なところ、100万円単位のチップを渡す男性がけっこういるそうで、いったいそういう人たちってどんな商売しているんだろう・・・?
と日頃ふれることのない世界に興味津々です。

まあ、著者のキャラクターも素晴らしいもので、たいていの「女」を売りにする仕事をしている一方で、まじめな仕事もしている・・・
もしかしたら、自分たちの接する普通の女性が、夜の世界では女王様然として肩で風を切って歩いているのかもしれません。

男という生き物

本書は、著者や、著者の友人である、おもに、女性であることを売りにする商売についている人たちの目で見た男性観。
キャバクラで何とか女子をものにしようと思う男性がいる一方で、女性は冷ややか。
お金になるかならないか、それが判断基準だといいます。

まさにそれは疑似恋愛で、女性はクレバーに対象の男性と彼の持つお金が需要の範囲にあるかないかをクールに判定している。
一方男性は、それを本当の恋愛めいたものと勘違いする人は多い。
その瞬間、女性は男性にNOを突き付ける。

良し悪しは別として、こういった女性の多くはまさに男性との関係をお金の関係と割り切っている。
まぁ、逆に沿う割り切らないとやってられない部分もあるのかもしれません。

もちろん、ここに書いてあることがすべてとは言いません。
これがすべてだとすると、オトコの描くファンタジーのほとんどは、ガラガラと崩れてしまうかもしれません。

リラックスしつつも、自分の在り方を考えながら読むといいかもしれませんね。

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