ノンフィクション

子は親を救うために「心の病」になる




はじめの一行

少し不思議な話からのスタート

この本の内容は、基本的に、学校に行けなかったりする子供と親の話。
その中身は、いわゆる臨床心理の世界にいる著者の体験談で、いたって現実的に見えます。
しかし、このまえがきと、最終章は少し違った世界観を醸し出しています。

子どもは大人が忘れたことを知っている

診察室で子どもたちの話を聞いていると、時々、「えっ?」と一瞬、耳を疑いたくなるような言葉が飛び出してくる。彼らは大人の知らない世界を知っているようだ。いや、正確に言えば、大人が閉じてしまった世界をまだ持っているようだ。
ある子は「窓の外に小人が三人いて、じっと中をのぞいている、怖くはないけど、なんか嫌だな、でも、よくあるんだ」と話した。
あるこは、「時間はまっすぐじゃないよね、まがっているんだ」と漏らした。
また、「遠くにあるものが大きく見えて、近くにあるものが小さく見えることがあるんだよ、実際の大きさとは違うんだ、気持ち悪いよ」と言う。
私たちが当たり前と思って疑わない三次元空間の「遠近感」を彼はまだ信じていないのである。芸術の世界では、遠近感は時に無視され、あえて壊されることがあるが、子どもはそれを自在にやっている。
常識的な「大人の価値観」を一時離れて、彼らの言葉に耳を傾けると、ある時は『不思議の国のアリス』のような話をしてくれるし、ある時は、どこかで聞いた創世神話のような話をしてくれる。

子は親を救うために「心の病」になる(高橋和巳)

本書の内容

子どもの心の病

引きこもり、不登校、摂食障害などなど。
いま、多くのシーンで子どもの心が不安視されています。
著者は、そういった子どもたちとの対話の中に、ある共通点を見出します。
実は、子どもたちが心の病にかかるのは、親が成長するためなのではないか、と。

そういう観点で子どもの話を聞いていると、驚くべき言葉が散見される。

よく言われる話ですが、子どもの心の病の多くは親とのかかわりに根があることが多いといわれています。
たとえば、不登校などの場合、原因がいじめでない場合は、例えば親の過干渉だったり、子どもとのかかわり方にどこかしら偏りがある。
そういった偏りができる原因は、実は親の側にあって、親もまたその種を自分の親から受け取っている。
こういった流れの中、時折こんな言葉を発する子供がいるといいます。
「自分が心の病になったのは、親のため」

本書では、子どもの心の病を通じて、親が自分自身を取り戻すさまが紹介されています。

宇宙期

本書で特徴的なのは、人の成長において、成長期の後に「宇宙期」というものを設定していること。
最終章に詳しいのですが、人が人として成長した先にあるもの。
これを表現しています。
どことなくスピリチュアルな印象も受けますが、心理学の延長にはスピリチュアルがあるという説もあります。
人間観察を深めていくと、最終的にはそういったところへ到達するのかもしれません。

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