ビジネス書

あの同族企業はなぜすごい




はじめの一行

同族企業の取材レポート

今後ますます注目されるであろう、同族企業の行方。
これを研究されている方が、発表された本書。
マスメディアによるステレオタイプな同族企業のイメージから一歩踏み込んだ時、本質が見えてくるわけですが、そのマスメディアに対するアンチテーゼから話が始まります。

同族経営がこのところ、さまざまな形で注目を集めている。出光興産では合併をめぐって創業家と経営陣が対立。大塚家具では一時、父と娘が経営権をめぐって争い、最終的に二人はたもとを分かった。2016年のセブン&アイ・ホールディングスの人事をめぐる対立では最終的に創業家の意向が働いたとされる。こうした事例は枚挙にいとまがない。また後継者難から会社をたたむ「大廃業時代」の足音が迫り、多くの同族企業が危機に直面している。
同族経営を考えるとき、中小企業は大半がファミリーによるビジネスであることが広く知られている。一方、上場企業も実は株式の所有比率や経営陣の構成などにファミリー職のある会社が意外なくらい多い。海外を見渡しても、同族企業は大きな位置を占めている。
経済の主役の一つと言えるが、その内実はあまり知られていない。
新聞や雑誌などでは、これまで主に二つの角度から語られてきた。一つはファミリーとビジネスをめぐる「事件」が起きたとき、「だから同族経営はダメ」のように、マネジメント失敗の原因として否定的なニュアンスで語られるケース。

あの同族企業はなぜすごい(中沢康彦)

本書の内容

ファミリービジネスの調査レポート

本書の大半は、実際に成功している同族企業の成功事例を(おそらく)取材をもとに列挙しています。
後半には、データから読み取る同族企業の経済における役割めいたもの、成功法則的なものを提示しています。
とはいえ、全体としては十分なまとまりがあるわけではなく、あくまで、調査レポートという域を出ていないと思います。
しかし、実際に企業内に起こる同族企業のさまざまな問題については、しっかりと把握され、そこにどう対処したか?
という実例は本書の中に収録されている事例からヒントを得られるのではないかと思います。

やはりそのテーマの中心は事業承継。
会社を次世代に引き継ぐことが、同族企業が今直面している現実。
実際には、単に経営をバトンタッチするというより、会社に変化を作っていかなくてはならない。
そのあたりの後継者の苦悩にも切り込んでいるという意味では、なかなか興味深い一冊かと思います。

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