小説

記憶屋Ⅲ




はじめの一行

新たな物語の始まり

本書は、前作『記憶屋Ⅱ』の続きです。
前回は「次回に続く」という感じで終わりましたので、今回それが完結する流れ。
始まりは、初めて出てくる登場人物の描写からです。
テレビで出ている毬谷柊、そしてその裏で本当の顔を見せる毬谷柊、その対比から物語が始まります。

ちなみに前回ご紹介した記憶屋Ⅱの記事はこちらです。

 

テレビをつけたら毬谷柊がでていた。
コックコートではなく、黒いニットを着て、ギャルソンエプロンを付けたスタイルで、スタジオ内のキッチンで料理をしていた。
これまでにも、テレビの料理コーナーに出演して料理の腕を披露しているのを見たことはあったが、バラエティやクイズ番組など、料理とは全く関係のない番組に出ていることもあるので、夏生はずっと彼を料理のうまいタレントだと思っていた。しかし、料理人のほうが本業らしい。
言われてみれば、なるほど、プロの手つきだ。
野菜を切る手元がアップになり、爪の先まできちんと手入れされているのがわかった。
料理をさらに並べ、イタリアンパセリとソースを添えてゲストへと運ぶ、ただそれだけの仕草も絵になっている。カメラも、明らかにそれを意識して撮っていた。
料理をする手元や料理そのものより、毬谷を映している時間のほうが長いくらいだ。女性の視聴者が多い番組だから、視聴者うけを考えてのことなのだろう。

記憶屋Ⅲ(織守きょうや)

本書の内容

物語は、件の毬谷柊の話から始まります。
毬谷柊は、子どもの頃のある記憶を消したかった。
そこである人との関係をリセットしたかったわけです。
そこで、都市伝説的に伝わる「記憶屋」を探した。
その情報を、記憶屋の情報を追う新聞記者猪瀬がつかみ、自身も記憶屋に記憶を消されたことのある女子高生夏生を従え、彼に会いに行く。

もともと、記憶屋Ⅱから続く物語ですが、今回で完結を見ます。
これ以上中身に触れるとネタバレになりそうですが、後半にちょっとしたどんでん返しがあります。
じわじわと進む物語が、中盤以降スピードアップ。
けっかは衝撃的・・・という感じでしょうか。

この後続編が出るかどうかはわかりませんが、ここでひと段落という感じでした。

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