小説

万能鑑定士Qの事件簿 I




はじめの一行

ガードレール

世の中には剥がしてはいけないシールがある。
たとえば、百円ライターについている小さなシール。つい親指の爪先でひっかいて剥がしてしまいたくなるが、好ましいことではない。万が一、ライターが破裂し怪我した場合、シールがなければ補償が受けられない。あれは対人賠償責任保険の証明書だからだ。
一方で世間には、どうあっても剥がすべきシールというものもある。
不法に貼られたシールやステッカー、チラシの類。放置はできない。ゆえに行政には、それをはがして回る仕事が存在する。
妻子持ちの四十歳、抗田栄一郎も、そのひとりだった。
正式な肩書は、新宿区役所の資源清掃対策室、新宿清掃事務所剥離作業係。仲間内では剥がし屋と呼ばれている。
午前九時、東京メトロ飯田橋駅の出口前。抗田は軽バンを歩道に寄せて止めた。路上は渋滞気味、歩道は通勤を急ぐサラリーマンやOLで溢れている。
抗田はドアを開けて車外に出た。やわらかい春の陽射しが降り注いでいた。

万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ(松岡圭祐)

この物語は、抗田の仕事場。
つまり町中に貼られた、ある不思議なシールから始まります。
それは「力士シール」と呼ばれる、力士の絵が描かれたシール。
その目的もわからないこのシールから、物語は始まります。

本書の内容

謎だけが深まる

本書の主人公は、万能鑑定士と呼ばれる凛田莉子。
本書では、彼女の来歴、そして力士シールの鑑定。
さらに、ある事件との遭遇。
その捕り物帳。
そんな流れで進んでいくわけですが、とにもかくにも謎だけが増えていく。

残念ながら、その謎は本書では解決を見ません。
次号で解決、という但し書きが最後にありました。
つまり、1巻と2巻はセットで読む必要がありそうです。

とはいえ

なーんだ、がっかり・・・。
となるかというと実はそうでもない。
次々と投げかけられるなぞと、小出しにされる情報。
結局、グイグイ物語に引き付けられる自分がいます。
この構成力というのか、人をひきつけてやまない文章というのは、
ちょっとじっくり研究してみる必要がありそうです。

本書の著者である、松岡圭祐さんの本は多くがシリーズ化されてます。
特徴あるキャラクターが出てくるというのはありますが、
それ以上に人を引き込む文章力に多くを負っているのではないかと思います。

そんなことを考えて文章を見直すと、やっぱり一文が短め。
詰まり読みやすいんですね。
書かれている内容は壮大だし、けっこう難しい部分もある。
それがくどすぎず、難しすぎない表現で表されているように思います。
かなり次巻への期待感が膨らみ、速攻買っちゃいました(笑)

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