ノンフィクション

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン




はじめの一行

プロローグ 手のひらのケータイから

携帯電話をお持ちの方は、電源をお切りいただくか、マナーモードに設定いただ・・・かなくてもけっこうです。
ただ、ケータイを手のひらに載せ、ちょっとだけご覧ください。
時代の最先端をゆく製品に見えますよね。こんな小さな機会なのに、単なる電話の機能をはるかに超えて、パソコン、デジカメ、テレビ、最近では現金やカードの代わりまでするようになっています。おまけに年々、薄く、軽く、小さくなっており、名刺サイズになる日も遠からずやってくると言われています。
このケータイに、創業百年以上の「老舗」と呼ばれる日本のさまざまな会社の知恵が詰め込まれていると言ったら、どう思われるでしょうか。もっとはっきり言えば、日本のいろいろな老舗企業の部品や技術がなければ、ケータイで話すことも聞くこともできません。形もいまとは全然違うものになってしまいます。
たとえば、ケータイの折り曲げ部分。ここには、京都にある創業なんと三百年の、もともとは金箔屋さんだった会社の技術が活かされています。

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン(野村進)

本書の一行目、とりあえず笑いをとっておけ、ってことでしょうか(笑)
まあ普通には始まってないですね。
千年、働いてきましたというタイトルと、携帯のマナーモード設定、いったいどこに関連性があるのか?
というちょっとした疑問は浮かびそうです。
読み進めていくと、携帯の中に、老舗企業の技術がいっぱい詰まっているので、「だから携帯か」とわかるわけですが。

本書の内容

数々の老舗企業

本書は、著者による百年単位の歴史を誇り、今なお最先端を走る製造業の取材ルポです。
意外なのですが、数百年単位の社歴を誇る会社の中でも、ここに紹介される企業は社会の最先端技術を提供しているところばかり。
老舗企業というと、古い体質で、伝統だけを守り続け・・・というイメージがありましたが、そうでもないようです。
そこには、常に前に進む原動力のようなものがある。
そのもとになるのは何か、というとどうも自分たちが扱う商品というよりも、技術や素材への愛のような気がします。

中小企業にしかできないこと

本書を読んでいると、ある結論に達します。
それは、うまくいくとも行かないとも言えない研究。
これを果たしうるのは、やはり中小企業だからじゃないかということ。
大企業の場合、株主などの圧力もあり、年単位で結果を示さなくてはならない。
しかし、中小同族企業の場合は、そこはある程度ルーズでも大丈夫。
そこに希望があると信じることさえできれば、長期的な研究を続けられる。
そこから生み出されるものは、結構大きい。

衰退する企業の条件

本書の中で紹介される企業は、みな、多角化などはあまり行っていない。
ただただ、コアになる技術に一点集中。
ただし、その技術に慢心することなく、常に新しい技術の開発に余念がない。
ここが、衰退する老舗企業と、繁栄する老舗企業の違いといえそうな気がします。
今の仕事を継続するのではなく、今の技術を磨き続ける。
これ、大事なポイントではないかな、と感じさせられました。
特に製造業におられる方は、一読して損のないものではないかと思います。

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