小説

千里眼の復讐―クラシックシリーズ4




はじめの一行

チョコレート

南京國際戦争監獄の老朽化は激しい。独房棟に長く伸びる狭い通路のコンクリート壁はいたるところで剥がれ落ち、雨漏りが床にどす黒い苔を繁殖させる。水溜まりもできていた。
とりわけきょうのように、激しく雨の降る日にはその範囲も増える。内勤の服装規定では軍服に革靴と指定されているが、ここでは長靴が重宝する。咎めるものなど誰もいない。
この人民解放軍管轄下の特殊な刑務所で法務の最高顧問についているチアユンリンも例外ではなかった。法は絶対ではないとチアは思った。もしそうなら、今会いに行こうとしている服役囚が命をとどめているはずもない。
前を歩いていた看守が、最も奥に位置する独房の前で立ちどまった。彼が扉を開けようとしているあいだに、チアは壁に目を向けた。薄汚い鏡に映る自分の姿を見やる。
神経質そうにやせこけた三十半ばの男。銀縁メガネの眉間を指先で押してみる。今その顔が何を考えているのか、客観的に観察できるだろうか。私の心は、表情のどこかに現れているだろうか。

千里眼の復讐―クラシックシリーズ4(松岡圭祐)

相変わらず読みやすい文章。こうやって転記してみると、一文は短く区切られています。それも不自然さはなく、読みやすさに配慮してのことではないかと思います。また、松岡圭祐さんの作品の多くは、比較的短い章で構成されていて、数分で1勝を読んでしまうことができます。細切れ時間でちょっとずつ読み進められる気軽さは、読みやすさにつながっているように思います。ただ、ついつい先を読んでしまうので、けっこうな時間を費やしてしまうのですが・・・笑

本書の内容

バイオハザード

Amazonのレビューを見て、なるほど、と思った表現がありました。
本作の大部分を占めるシーンは、まさにバイオハザード(笑)
けっこうなグロ表現があります。
人もたくさん死にます。
割とそういうシーンが長いので、苦手な方にとっては読むのがきつい部分はあるかもしれません。

舞台は、前作の終わりかけの部分からのスタート。
中国で、大戦勃発を阻止した岬美由紀。
その時の文脈では、監獄に投獄されるはずだったが、日本に帰ることができた。
その理由が本作で明かされます。

まあそれは序章でして、そこから新たな物語が始まります。
そこに出てくるのは、あの友里佐知子。
因縁の対決・・・と。

やはりAmazonのレビューの中では、自作の方向性を決定する重要な一作のようです。
なぜか、表紙の絵のテイストもほかの作品と違う。
いろんな事情もあるのでしょうが、次作が気になってしょうがない。

あ、そうそう。
岬美由紀はますます強くなり、ちょっとしたブレイクスルーがあるようです。
また、ちょっと甘酸っぱい話も・・・。
盛りだくさんな本作、ぜひご一読を。

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