奥田英朗

ガール




はじめの一行

短編集

この本は、30歳代くらいの女性にありがちな日常を切り取ったドラマ。
短編作品の一つ一つを、香里奈さん、麻生久美子さん、吉瀬美智子さん、板谷由夏さんが演じて映画化もされた本です。

いくつかの短編作品の中で、割と好きな作品が「マンション」。
その物語はこんな始まり方をします。

親友のめぐみがマンションを買った。すでに契約を済ませ、あとは建物の完成と入居日を待つだけと言う。
石原ゆかりは、それを聞いてショックを受けた。事前に知らされていなかったからだ。

マンション(奥田英朗・ガールより)

この二行で、なんとなく状況がイメージできてしまいます。
それと、どこかめぐみに対するライバル心というか、微妙な心情がにじみ出てきているような気がします。
ああ、何かが始まるな、という感じは十分感じられますね。

短編集という、性質からか、どの作品も初めの5行以内で場面設定を終えています。
どんなシチュエーションか、どんな人間関係があるのか、どんな主人公なのか。
起承転結でいうと、「起」の部分はかなり早い段階で出ている事が多いように感じました。

本書の内容

マンション

「ひと回り」「ワーキング・マザー」「ガール」「マンション」「ヒロくん」
この短編が一冊にまとめられています。
共通するのは、主人公がアラサー女子という事。

とくに妙に気に入っているこの「マンション」という作品は、
会社なんていつでも辞めてやる!という思いで社内でも言いたい事を言うアラサー女子。
しかし、友人がマンションを買ったのをきっかけに、自分も考え始めます。

その中でいろいろと考える内容が、「あるある」的内容。
しかも、だんだんと会社になじんでいく姿が面白おかしく描かれています。

著者はコピーライター

ハリウッド映画のようなアップダウンはないし、起承転結の振れ幅は大きくはありません。
しかし、読後、なんとなく穏やかな気持ちになれる作品ばかりが詰め込まれています。
私は、この著者の作品が大好きで、プロフィールを見ているとコピーライターという側面もあるようです。
言葉の使い方がうまいというのもあるのでしょうが、視点が面白いのです。

他の作品にも共通する事なのですが、多くの人が見過ごす点を割とうまくすくいとっている感じ。
そんな読み方をすると面白いかもしれません。

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