ジョン・ブラッドショウ

ファミリーシークレット




はじめの一行

はじめに

あなたの真実に分け入るために

家族の神話が持つ力

初めて暗い秘密を持ったのは、十一歳のときだった。私は両親の部屋に忍び込み、戸棚や押入を開けて何があるか見てみるのが好きだった。ある日、父の靴下の引き出しに、ブリキの箱と鍵を見つけた。開けてみると、銀のコインがたくさん入っていて、まるで輝く宝物のようだった。「パパのひみつの隠し場所だ!」
父はめったに家にいなかったが、私は何となく彼に近づいたような気がしたものだ。それから何度もその箱をチェックした。そのたびに彼のコレクションが増えるのを一緒に喜んでいるような気持ちになった。
ある日私はコインを二枚、失敬した。何日か手元において、兄弟に見つからないように気を付けた。そして店に行き、そのコインでキャンディを買った。うちの近くの駐車場の隅で、こっそり食べた。恐ろしかった。重大な罪を犯しているとわかっていて、辞められなかった。私はブリキの箱を開けてはコインを盗むようになった。回を重ねるたびに、一度に盗むコインの数は増えていった。ある日ついに、数ドル分のコインを盗った。バスに乗ってダウンタウンに行き、憧れの雑貨屋で初めての買い物をした。海賊が祝杯を挙げるように大胆に、気ままにコインを使った。

ファミリーシークレット(ジョン・ブラッドショウ)

著者のある出来事の描写から始まります。
この物語はこの辺りの話が少し続き、本書のテーマとかぶるある結末を迎えるのですが…

本書の内容

連綿と続く家族のつながり

本書のテーマは家族。それもどちらかというと負の要素が大きい。
というのも、家族のひみつは何らかの形で次の世代へ持ち越される、という話。
たとえば、ある人が酒乱で、アルコール依存症だったとする。
その原因は、実は親の代やそのまた親の代から続くなにかしらの秘密めいた家族の習慣に起因している可能性がある、というのです。
近年家系図を作ることがブームになったりする背景には、そんなつながりがあるからなのかもしれません。

セラピーの現場から

本書の著者はセラピスト。
様々な現在のクライアントの悩みをさかのぼっていくと、家族が持った秘密がその発端となっていることが多いと分析する。
たとえば、親が厳しい家庭に育ったとする。すると、その親は自己重要感が低くなり、その状態で自分の子に接する。
とうぜん、その子はその影響を受け、一定の偏りをもって育つ。

そういう意味では、今の自分の性格や行動パターンは、親の影響を少なからず受けています。
例えばこれが、性的な虐待やネグレクトなどといった行為を伴う関係性があるとすれば、その親子関係はより濃い闇をはらむことになります。
そんな関係性を語ったのがこの本といえるのではないかと思います。

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