東野圭吾
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天空の蜂
はじめの一行1午前五時ちょうどに電話は鳴りだした。その約一分前から腕時計と電話機を交互に睨みつけていた『彼』は、一度目のコールサインが終わらないうちに携…
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パラレルワールド・ラブストーリー
はじめの一行序章線路はまったく違うが、二つの電車が同じ方向に、しかも同じ駅に停まりながら進んでいく場合が時折存在する。田端、品川間の山手線と京浜東北線も…
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マスカレード・イブ
はじめの一行1午後六時を過ぎたころから、フロントにやってくる客が増えてきた。ほとんどがビジネスマン風の男性だ。この時間帯にチェックインをする客は概して表…
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ナミヤ雑貨店の奇蹟
はじめの一行第一章 回答は牛乳箱にあばらやに行こう、と言い出したのは翔太だった。手ごろなあばらやがあるんだ、と。「なんだよ、それ。手ごろなあばらやって」…
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赤い指
はじめの一行1間もなく夕食という時になって、隆正はさっきのカステラが食べたいといいだした。松宮が土産に持ってきたものだ。「こんな時間…
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マスカレードホテル
はじめの一行1電話が鳴った。内線電話だった。十六階のえればーたホールにある館内電話からだ。山岸尚美は、嫌な予感を覚えた。ついさっき、一人…
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探偵ガリレオ
はじめの一行1「……振り向いたところを見れば、夫は仮面をかぶっていた。銀色の金属でこしらえた無表情な仮面だった。感情を隠したいときにいつ…