はじめの1行
プロローグ
拝啓
突然のお便り、失礼いたします。
私は、あなたさまの母校、岡山白鷺女子高校で国語教師を務めております荻原と申します。このたび、本校が創立百二十周年の節目を迎えるにあたり、記念事業実行委員として、このお手紙をしたためております。
ご活躍、いつもまぶしく拝見しております。あなたさまは、本校の卒業生の中でも白眉のご出世をなされ、いまや本校全在学生の憧れの人気マンガ家であられます。
唐突に丁寧な手紙ではじまるこの小説。
この後意外な展開を始めるのですが、こういった始まりもなんとなく先が気になる感じで、ついつい引き込まれてしまいます。
本書の内容
短編集のような長編小説
本書を始め読み始めてふと思ったのは、「ああ、短編集か」という感覚。
いくつかの章に分けられているのですが、その章ごとに一つの物語が完結します。
そしてそれぞれが、けっこう胸にしみるもの。
もともと私は短編小説というものをあまり好きではありません。
なぜかというとどうしても短いぶん深みがないから。
しかし本書の一章は、それ単独でも胸に響く素晴らしいものだと感じました。
ところが読み続けていくと、すべてが一つのストーリー。
まずはその部分に惹かれていきました。
作者の回顧録?
本書の舞台、白鷺女子高校にはモデルがあるそうです。
それは作者である原田マハさんがかつて通った高校だそうです。
やけに岡山の描写がリアルなのは、そんなことも関係しているのかもしれません。
舞台は1980年代。
ここに東京から越してきた主人公。
初めのうちは、標準語を話す主人公は少し仲間外れにされます。
しかし、ふとしたきっかけから仲良くなった、ちょっと陰のある美人武美と仲良くなります。
そして、マンガを描くのが好きな主人公が書く理想の青年ヒデホ君に、武美はぞっこんになってしまいます。
そんな主人公と、武美とヒデホ君との間に芽生える関係。
ゆらぎ、壊れやすく、繊細なその関係を中心に物語は展開していきます。
ああ、友達っていいな。
そんな風に感じさせる一冊です。
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これをiPadでぱらぱら見てます(笑)
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