はじめの一行
はじめに
この粘土板の文字は、ソクラテスや釈迦が現われる約1200年前、紀元前1750年ごろの古バビロニア時代に、人類文明発祥の地とされるメソポタミアで書かれたものです。現在、ロンドンの大英博物館に展示されています。
ここには、いったい何が書かれているのでしょうか。大昔の人が考えた神や宇宙についての心理や、考古学的な価値のある古代人の知恵なのでしょうか。
発見した歴史学者は、そうした高尚な内容を期待したかもしれません。それが、楔形文字を1文字1文字解読してみると、こんな内容であることがわかりました。「店に『いい銅の延べ棒を渡しますから』と約束されて金を払ったのにひどいのをつかまされた」
「『欲しいのでしたら差し上げますが、いらないのならお帰り下さい』だろ?」
「ちきしょう店の野郎、おれを誰だと思ってるんだ?」
「他の客にもこんな舐めたマネをするのか?」
この「はじめに」、面白いですね。
実は本の中では、一枚の石板の写真が冒頭にあります。
そしてその石板の写真のことを言っているわけです。
その内容の俗っぽさと言ったら、思わず吹き出しそう。
何が言いたいかと言えば、3800年前の人たちもまた、現代の人と変わらぬ不満を持っていたという事。
つまり、人は3800年にわたって似たような悩みを抱えていて、それについて考えつくした人がいるという事。
そういった本書のテーマにつながっていく、よみごたえのあるはじめにです。
本書の内容
現代人がもちがちな悩み
本書は、現代人がもちがちな悩みを、
・仕事
・自意識・劣等感
・人間関係
・恋愛・結婚
・人生
・死・病気
というジャンルに分けて、哲学者の言葉を取り上げながら癒していきます。
とりあえず「哲学者」と言いましたが、実は内容は哲学者にとどまらず、例えば有名な心理学者の話だったりもします。
多くの人がつまづきがちなポイントがあり、それは今も昔も変わらない。
そうすると、その問題について考え抜いた人が、何かしらの答えを出していて、それが現代人にも参考になるはずだ、と。
そのラインナップは、Amazonなどにも紹介されているので、ここに引用しておきましょう。
■仕事
「将来、食べていけるか不安」⇒アリストテレスが答えを出しています。
「忙しい。時間がない」⇒アンリ・ベルクソンが答えを出しています。
「お金持ちになりたい」⇒マックス・ウェーバーが答えを出しています。
「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」⇒ルネ・デカルトが答えを出しています。
「会社を辞めたいが辞められない」⇒ジル・ドゥルーズが答えを出しています。■自意識・劣等感
「緊張してしまう」⇒ゴータマ・シッダールタ(ブッダ)が答えを出しています。
「自分の顔が醜い」⇒ジャン= ポール・サルトルが答えを出しています。
「思い出したくない過去をフラッシュバックする」⇒フリードリヒ・ニーチェが答えを出しています。
「自分を他人と比べて落ちこんでしまう」⇒ミハイ・チクセントミハイが答えを出しています。
「他人から認められたい。チヤホヤされたい」⇒ジャック・ラカンが答えを出しています。
「ダイエットが続かない」⇒ ジョン・スチュアート・ミルが答えを出しています。
「常に漠然とした不安に襲われている」⇒トマス・ホッブズが答えを出しています。
「人の目が気になる」⇒ミシェル・フーコーが答えを出しています。■人間関係
「友人から下に見られている」⇒アルフレッド・アドラーが答えを出しています。
「嫌いな上司がいる。上司とうまくいっていない」⇒バールーフ・デ・スピノザが答えを出しています。
「家族が憎い」⇒ハンナ・アーレントが答えを出しています。■恋愛・結婚
「恋人や妻(夫)とけんかが絶えない」⇒ゲオルク・W・F・ヘーゲルが答えを出しています。
「不倫がやめられない」⇒イマヌエル・カントと親鸞が答えを出しています。
「大切な人を失った」⇒ジークムント・フロイトが答えを出しています。■人生
「やりたいことがない。毎日が楽しくない」⇒道元が答えを出しています。
「人生の選択に迫られている」⇒ダニエル・カーネマンが答えを出しています。
「夜、孤独を感じる」⇒アルトゥール・ショーペンハウアーが答えを出しています。■死・病気
「死ぬのが怖い」⇒ソクラテスが答えを出しています。
「人生がつらい」⇒マルティン・ハイデガーが答えを出しています。
「重い病気にかかっている」⇒ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが答えを出しています。
ヒントを見出す
これを読んでみて、内容的にはうまく合致するものもあれば、少しこじつけっぽいものもあるような気がします。
ただまあ、悩みがあって、そこへの回答があって、じゃあそれをすべて受け入れられるか?と言えばそんなはずはないわけです。
そういったときには、やはりある程度自分たちでアレンジが必要になります。
あたりまえの話ですが、本書は人生におけるヒントではあっても、正解ではない、ということ。
ちょうど本書が発売された当時私個人的にも、「今、さまざまな自己啓発書を読んでいくと、結局例えば、すでに釈迦やキリストの言葉として語られている事ばかりではないか」という思いを持ったことがありました。
そんな事もあって、すごく関心を持ったんです。
何かしら悩みのある人は、参考になる話もあるかもしれませんね。
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