ビジネス書

いま・ここ経営論




はじめの一行

まえがき

世の中はどんどん変わっていく。高機能化が進んですべてが便利になり、見かけ上は豊かになっても、反面では何かと人間らしさを感じる機会が失われていく。そんな中、エコ志向の強い人たちが現われ、何事もシンプルに、自動車よりも自転車へ、また、急げ急げではなく、ゆっくりと人生を楽しもうというスローライフに価値を見出す人たちが、着実に増えている。よく「量より質」といわれるが、質の中身も時とともに変わってきている。この傾向は、製造業、サービス業を問わず、あらゆる業種で散見される。

いま・ここ経営論(常盤文克、片平秀貴、古川一郎)

正直、この本はそんなに売れてないと思います。初版発行は2010年ですから、ほぼ10年前。
ただこのまえがきを読むと、なんとなく今の時代につながっている感じがあります。特に、タイトルの「いま・ここ」というのは例えば心理カウンセラーやスピ系の人が良く使う言葉です。そういったジャンルと、バリバリのビジネス書の醸し出す独特の場違い感が私は好きで本書を手に取りました。

内容は後述しますが、そういったスピ的要素はありません。ただ、今目の前の現実に、都度必要な対処を行うべし、という内容です。

本書の内容

東海道新幹線の逸話

本書は、まず東海道新幹線開業当時の話に始まります。当時、新幹線の敷設が決まってから、すごい勢いで車両開発、線路工事が行われたといいます。開業までわずか5年。ちなみに北陸新幹線は、金沢までの開通に18年を要しているようです。この違いは何なのか。
まず、すでにトンネル工事などがある程度進んでいたという事があるようです。当時は、東海道新幹線という仮定はなかったものの、他の列車を通すためにトンネルを掘っていたとか。そこを挿げ替える形で新幹線を通したわけです。車両開発に関しても当時の開発担当トップは、「すでにある技術を使う」という事を決め、リーダーシップを発揮したそうです。新しい技術を開発すると時間もかかるし、安全性の担保も難しい。だから、すでに安定したパフォーマンスをたたき出している技術を寄せ集めて作るというのです。これらの判断が功を奏し、予定通りに開業し、その後も人身事故がない状態で運営を続けていくことになります。

経営は計画通りにはいかない?

企業経営においては、なにかと「経営計画を作ろう!」的な風潮があります。特に個人的な印象としては、アメリカから「内部統制」みたいな言葉が入ってきてから特にその傾向が強くなってきたように思います。しかし、そういった計画というのは確かに大事な一面もあるのですが、時に足を引っ張ります。例えば計画外のチャンスが訪れたとき、それを見落としたり、軽視したりしがちなのでしょう。計画ありきになってしまう可能性はありそうです。

じゃあ現実問題として、企業経営は計画通りに行くものなのでしょうか。たいていは様々な突発的な事件が起こり、計画変更は余儀なくされたりすることは少なからずあります。本書では経営計画を否定してはいませんが、そういったものを持ちつつも、つどつどその時の判断でしゅん日に動ける体制を持っておいたほうがイイ、という事を主張しているように思います。それが、いま・ここ経営という事のようです。

状況をよく見て、その状況に合わせた柔軟な経営を行う。そして、そういった状況に従業員が俊敏に反応できるよう育て上げる。これはいわば、近年話題のティール組織などとも共通する部分なのかもしれません。結論としては、そういった経営に不可欠なのは従業員を育てるという事。きしくもかつて故船井幸雄先生が、「1000年企業を作るコツは、良い人を作ることだ」とおっしゃったと耳にしましたが、なるほど、本書は同じことを言っているようにも感じられました。

 

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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