はじめの一行
はじめに
どんなに時間をかけても、結局は骨折り損、そんなことはないか?読んだ内容をなかなか吸収できないと思ってはいないか?勉強しても退屈ですぐに気が散る、だから身が入らない、そんな経験は?
そんな人たちにこそ本書を読んでほしい。
本書の著者、オラフ・シーヴェとバーバラ・オークレーは、2人とも勉強するという作業に苦しめられた経験者だ。だからこそ、対象がどんなものであっても身につけるのに役立つテクニックを考え出した。
本書の対象となる、役立ちそうな人のイメージをまずはじめの一行に提示する。対象に当てはまった人は、「自分のための本だ!」と飛びつきますよねー。
本書の内容
学び方を学ぶ
よく耳にすることわざ的なものに、「魚を与えるより、釣り方を教えよ」的なものがあったと思います。ビジネスなどにおいて当てはめると、お金を渡すより、お金を稼ぐ方法を教えたほうが価値がある、ということになると思います。学習においても同じ考え方が言えそうです。私たちは、何かを学ぶことそのものも大事ですが、学び方を学べばそれは一生ものになります。本書の内容はそこにフォーカスしたものになります。同じテーマで書かれた本は以前こんなものを紹介したことがありました。
ここにきて、ほぼ同時期に「学び方」の本が出版されるということは、数年以内に「学び方」に関する情報がブレイクし始めるかもしれませんね。先取りしておいて損はないと思います。
学び方は脳の使い方
では学び方ってどういうものでしょう。これは恐らく脳の使い方そのもの。本書ではいくつか、そんな脳の使い方に関する情報が書かれています。
ポロモード・テクニック
集中できる環境を作り、25分間集中して学習をすすめます。その後、5分の褒美。まあちょっとした休憩を与えます。このペースを守るのが学習効率を高めるコツのようです。集中モードの25分間については、スマホの通知などにも気を紛らわせないような環境設定が大事です。ちなみに、よくいわれるマルチタスキング。一度にいくつかのことを並行してこなすことですが、これは多くの脳科学に関する本では完全に効率の悪化を指摘されています。マルチタスキングというのはAの作業をやっていて、Bに切り替えて、またAにもどるということを細かく繰り返していることに他なりません。脳はそもそもマルチタスクのような機能を持っていないから、ぶつ切りで二つのタスクをやる形になります。するとあっちとこっちの切り替えの際に、スイッチングコストが発生します。集中し、それを解除し、新たなタスクに集中し、の繰り返しなので完全集中に入る際の時間が効率の悪化を招くといいます。ミシガン大学の研究では30%~40%ダウンするというようです。
これほど明らかな数字で効率がある中でマルチタスク信奉者がいるというのはおそらく、本気の一点集中が苦手な人がマルチタスクを礼賛する傾向があるのかもしれません。一つのことに集中した25分に耐えられない人はむしろ何度も支店切り替えを行う方が、やりやすいということなのかもしれません。結果として、パフォーマンスは下がらない(もともと一点集中できないのでマルチタスクで支払うスイッチングコストは考慮しなくてよい)ということなのかもしれません。
「集中」と「拡散」の学習モード
がくしゅうモードには集中と拡散状態があって、例えば何か新しい文章を生み出すときにはこれを行き来することになります。拡散モードでネタや構成をだーっとやる。そして細かいことを考えずに書く。その後集中モードに入り、推敲する。拡散モードに入るために「カフェの音」を再現するようなアプリもあるそうで、カフェ仕事が苦手な私は苦笑い。
ハードスタートというテクニックがあるようです。これはテストなどのときには、まずは一番難しい問題に取り組みます。それでちょっと苦しんだ後に簡単な問題に移ります。あとは簡単なものをこなしてだんだんと難しいものにランクアップしていくと、はじめの難しい問題の印象があるため、簡単な問題がより簡単に感じられるようです。そして頭を慣らしていくことで難しい問題にも気負わずチャレンジできるようなので、テストなどにチャレンジされる方は知っておくといいのではないでしょうか。
その他にもいくつかの脳に良い習慣や、学び方が書かれた本書ですが、全体を通して感じられたのは積極的姿勢がとても大事だということ。やらされ感覚というものはやっぱり学習効率を落としてしまうようです。自分でやる、という気概が意外と大事なようです。精神論はダメ、という風潮は多いですが、案外精神論も大事なのかもしれません。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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