はじめの一行
ようこそ、不思議な「実験」の場へ
この本は、「ある仮説」をもとに、作られました。
「大量の不思議な話」を読むことで……
意識を変容させ、未知なる可能性を広げ
人生をひらくことになるのではないか……と。さて。あなたは、自分を変える覚悟はありますか?
では……さっそく実験を始めましょう。
本書の冒頭ではこのような問いかけがあり、その後に編集者によるまえがきがあります。
今回は、まえがきの前に書かれているこの問いかけをピックアップしました。
編集者のまえがきと合わせて読むと、この本のコンセプトは怪談でよく耳にする「100物語」を模しています。怪談は、夜みんなで集まり、怪談を一つするごとに100本のろうそくを一つずつ吹き消していく。最後の一本を吹き消した時何か恐ろしいことが終わるという伝説です。本書は、100の不思議物語をインプットすることで、不思議な世界へ読者を誘おうというコンセプト。本当にそんなことが起こるかも!?と思いながら読む人がどの程度いらっしゃるかはわかりませんが、なんとなくおもしろそうだな、と本書を手に取った人は多いのではないでしょうか。私はその中の一人、と言えます。
本書の内容
著者による不思議体験集
本書のコンセプトは前述の通りです。私はてっきりいろんなところから集めた話かと思いきや、全て著者の体験だとのこと。正直、100の話のうちのいくつかは、「あれ?これでおわり?」というものもないわけではないのですが、そこはノンフィクション。つねにすっきりとする伏線回収があるとは言えないのでしょう。そういったところは割り引いて読む必要はあるかもしれません。前半戦は正直ちょっと軽い感じで読んでましたが、だんだんと中盤以降かなりディープな話になってきます。
私が特に印象に残ったのは、著者の意識がひょんなキッカケで猫の意識に入った部分。ざっくりお話しすると、自分は気づかない間に視点が低くなっていて、自分の手を見てみると猫の前足だったといいます。その状態で、猫は動いたり飛んだりするわけなんですが、その時の感覚がもうすべてが無意識。なにかをするぞ、という風に意思があって動くわけではなく、とにもかくにも気がついたら体が動いて飛び上がっているとか、手を出したら手に虫が入っていたとか、そんな感じです。ああ、たぶん、猫の意識ってそんな感じなんだろうなぁ、と妙に想像力が掻き立てられました。人間においても、悟りに近づくに際して、「いま、ここ」という話がよく言われます。実はこの猫のはんのうこそ、「いま、ここ」なんじゃないかと思うのです。何しろ今目の前のことしか意識にない。これを人間としてできると悟りにつながるんじゃないかと思いますが、如何なものでしょう。
本書においてはそんな解説があるわけでもなく、ただ猫の意識に入って、そんな行動をして、気が付けば元に戻っていたという、オチも何にもない話なんで、オチを期待しながら読む読者にはきついかもしれませんが、やっぱり「事実」を事実のまま表現するとそんなものなのでしょう。ある意味、リアリティを感じるところです。
他にもけっこう突飛な話がでてきます。もちろん、霊的なものを見たとかという話もありますが、そんな話ばかりでもありません。そういういみでは、そんな不思議世界にどっぷりつかりたい方にはお勧めと言えます。で、100話を読んで意識が変容したかというと・・・よくわかりません。いろんな気づきはありましたけどね!
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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