目次
はじめに
はじめの一行
『自由を手に入れる方法』。
本書のタイトルを見て、あなたは一体何を思っただろうか?
「それはどんな方法だろう?」という素朴な疑問をいだいたかもしれないし、「ずいぶん大胆なテーマだ」と驚いたかもしれない。
政治的な自由についての議論を思い浮かべた人は、のびのびと生きたい、あるいは一切の束縛から解放されたい、という切実な気分になった人もいるかもしれない。人によって「自由」という言葉の受け止め方は違うだろうが、本書では、古代ローマのギリシア人哲学者が考えた、自由についての思想を紹介したい。
「自由」というベタなキーワードを中心においています。しかも、書いている人が「元奴隷」の哲学者。
なんともキャッチーなシチュエーションです。もうそれだけで、売れそうな本です。
自由を手に入れる方法、というはじめの一行があるのですから、本書の内容はそこに沿ったものになります。
どうも閉鎖的な社会の中で苦しんでいる人へのメッセージともいえるかもしれません。
本書の内容
コントロールできないもの
本書の「自由を手に入れる方法」をシンプルに解説するなら、「コントロールできないものは手放せ」ということです。聞けば、「なるほど」と思うのですが、私たちは多くの場合「どうにもならないこと」を「どうにかしよう」としてそのことに気を病みます。たとえば、勤め先で管理職をしているなら、なかなか成果の上がらない部下について気にしているかもしれません。彼に対して、教育で何とか変化させられるなら、そのことに打ち込むのみですが、そうでなくてそもそものマインドセットが問題だったとしましょう。それを動かすことができないなら、そこに気を病むのはやめよう、という提案です。動かせるものは動かせばいいけど、動かせないものは、忘れろ、ということなのでしょう。
実は私も結構そういう経験をたくさんしてきているような気がします。仕事で上司とぶつかった時、なんとか上司を説き伏せて自分の考えを活かしたいと思ったとしましょう。あれやこれやと上司を説得して、けどやっぱり上手くいかない。そうすると、上手くいかないことほど私たちは気になって仕方がない。そのうち、はじめはどうでもよかったことも、何とか動かさないと気がすまなくなってきたりするものです。そういうこだわりこそが自分を苦しめていて、それをこだわればこだわるほど「不自由」をリアルに感じる。そういったことから抜け出すことを、エピクテトスはすすめています。
彼は元奴隷なのだそうで、奴隷であればどうしようもないものが日常の中で大半を占めていると思います。そんながんじがらめの状況の中で、幸せに暮らす方法を考えたのでしょう。その結果が本書に記されている、ということになるのではないかと思います。
おすすめ部分
私が本書でお勧めしたいのは、プロローグと第二部。第一部に感銘を受ける人もいるかもしれませんが、こちらはどちらかというと名言集的な感じで、いい事書いてますが、私個人的にはイマイチピンとは来なかった感じです。むしろ、第二部に関して言えば、かなり絞り込んだ内容になっているので結構好きです。
全体を通してさほど難しい表現もなく、読みやすい一冊です。
なにかに虐げられていて、自由を求めている方には一読をお勧めします。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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