小説

三毛猫ホームズの降霊会

はじめの一行

プロローグーーー宴の空白

その日は「仏滅」だった。
「だからあんなことが起ったんだ」
とは無責任な言い方だったが、「仏滅」ゆえに、宴会場フロアが、その日はほかに披露宴などもなく、閑散としていたという要素は重要だった。
小さい子供もいるから、と夕方から始まった宴は、二時間たって「一線を越えた」。
「アルコールは控えて」
という良子の願いを、夫は自らアルコールのせいで忘れてしまったのだ。
堤防が決壊したかのように、酒はとめどなくその宴席へ流れ込んだ。

三毛猫ホームズの降霊会(赤川次郎)

何で仏滅なんて言うのが関係あるんだろう?
実は一行目を読んだときの感想。
その後、あんまり重要なことではなかったと思うのですが、「降霊会」という話とのからみで、ちょっとそういう雰囲気を出したかったのでしょうか。

本書の内容

推理小説と霊

これは私の個人的な話なんですが、推理小説というのは「霊」とか「超能力」を使うのはご法度てきなイメージを持っています。
私の推理小説の読み方は、ただ物語の流れに任せて読んで、起こった出来事を受け取って一喜一憂するパターン。だから、自分で推理するとかはあんまりやらないのです。新聞にあるようなクロスワードパズルとかも全くやりませんし。まあそんな私ですから、その推理のカラクリに霊がからもうが、超能力がからもうが、あまり気にしないのですが本格的な推理マニアの場合、そういう禁じ手はないという前提で会ってほしいと思うんじゃないかと思います。そんな推理マニアを慮って、「推理小説に、霊?」とちょっと心配したんですが、読んでみてそれは稀有に終わりました。

推理は普通に推理です。

もちろん、霊能者が出てくるし、降霊会は行われるので、この本の中において例がいて、本物の霊能者がいます。
だけどそれと推理内容はかなり違うところにあるのでご安心を、という感じですね。

推理小説をそんなに読まない私が、推理小説をどうこう論じてもあんまり意味がないので、率直な感想を述べさせてもらうと、読みやすいし面白い。
だけど、赤川次郎さんってもっとほんわかした作風のイメージだったんですけど、被害者は小さな子供ということで、なんだかもやッとする部分もある。

考えてみると、子供が犠牲になる小説って、今まであんまり読んだ経験なかったかもしれないな、と思う今日この頃です。

シリーズ物ははじめからがいいかも

さて、本書を読んでみたときに、これ、シリーズ第41弾だそうです。
たぶんほとんどの読者はベテランさん。
私はまったくの初心者だったので、いつものメンバーらしき人たちの背景が今一つ見えなかった感じです。
晴美さんという人も、片山さんという人も、三毛猫のホームズも、案外出番は多くなく、ちょっと個性が見えにくかった。
これがきっと常連さんからすると、これくらいの感じでも全然いけるぐらいの感じなんだろうなぁ、とおもって、やっぱりシリーズ物ははじめからチャレンジするのがいいのかな、なんて思いました。
なにしろ、41弾ですからねぇ・・・。

とはいえ、サクッと読めて面白い。
四の五の考えずに、楽しんで読むのが一番なのかもしれません。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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