目次
はじめの一行
はじめに
この本は、新しい顧客をつくること、見つけることに関心がある方たちを、その読者と想定しています。
ただ、「新しい顧客」をつくるといっても、セールスやマーケティングの世界でよく言われる「新規顧客獲得」を意味するものではありません。日本、そして世界の市場で、これまで思いもよらなかった顧客に出会うことに考えを巡らせている方、これから新しいアイデアで起業しようと企てている方、あるいは、現在の状況を打破して新しい事業を作りたい、新しい市場を作りたいと考えている方たちが読者となります。
ここにあげた数行は、単に、この本の想定読者を記しているだけなんですが、なんだかワクワクしてくるから不思議です。ああ、自分はかろうじてこの範囲かな、とか、外れてるけど参考になる部分もあるかも、と拡大解釈しながらこの本を持ってレジに走る人は多いような気がします。たぶん、タイトルを見た時点で、もう半分くらいは購入を決めてる人が多いのではないでしょうか。
本書の内容
顧客の創造
本書の中心にあるのは、デザイン思考と競争戦略論。とはいってもそれらを解説した本という感じでもありません。割と随筆風に著者の身近な話が積み重ねられていきます。たとえば、マーケティングの世界においては、非常にざっくりした切り口で、どこそこに住む何十代の上場企業のサラリーマン的なとらえ方で顧客をとらえがちです。しかし本書ではもう少し丁寧に、固有名詞でいくつかのペルソナを事細かに表現していきます。近所に住んでいそうな何人かのかなり具体的な、性格、乗っている車とその選択基準、日頃の生活ぶりなどをあぶりだしていきます。そして、こう言った層とどんな提案がマッチングが良さげかということをかなり丁寧に解説していきます。
そういった具体的な人の個性が語られるからか、全体がとても読みやすくわかりやすい。
ただ、これを現実のビジネスに応用していくには、それなりの応用力は問われると思います。シンプルなハウトゥ本ではないので、ビジネスへの組み込みは難しい代わりに、ある程度の普遍性は持っている内容のように思います。
そして本書を読んで思ったのが、ドラッカーの言う「顧客の創造」というのはこのようにしてできるのかもしれない、ということ。もともと、著者がドラッカーへの造詣が深いこともありますが、そんなテーマを持った一冊と思われます。マーケティングの本質的な部分を学びたい方にはお勧めできる一冊かと思います。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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