目次
はじめの一行
はじめに
日本の社会は、相互信頼で成り立ってきました。
米づくりにしても、商いにしても、他者を信じ、他者から信じられることなくしては営めません。以心伝心とか、阿吽の呼吸というのも、相互信頼をベースにしています。
六千名を超える犠牲者を出した一九九五年の阪神・淡路大震災の時、被災者の間にまったく暴動が起きなかった事実は、世界を驚かせました。あの頃も相互信頼社会という日本の伝統は生きていたのです。
一行目を日本の相互信頼から始めるあたり、日本に対する期待を感じる一冊です。
日本という国に対する強い思いを感じる書き出しと言えそうです。
本書の内容
倫理法人会
本書は、Amazonで見つけることができませんでした。
著者が所属する倫理研究所のWEBサイト上で購入することが可能なようです。
執筆当時の日本に対する意見や思いが詰まっているのが前半です。
大雑把に言うと、本来持っている日本の良い部分が十分発揮できてはいないのではないか?という内容です。
元々これだけ高い国民性を持っていながら、今の日本というのはどこか腰砕け感がある。
その中で大事なのが、倫理教育ではないだろうかというところのお話となっています。
そもそも本書のお話は、一般に広く伝えることも意図されているようですが、主には「倫理法人会」の会員に向けたものと言えるのかもしれません。
倫理法人会というのは、日頃、やろうと思えばだれもができるけど、出来ていないようなこと、ーーーたとえば脱いだ靴を揃えるとか、後始末をすると言ったことーーーをキッチリすることで生活を正すことから始めます。そうすることで、すべては上手くいくという考え方に立っています。
経営を良くするために……
さて、この倫理にかんする取り組みですが、これは経営にも有効であると言います。
たとえば、生き別れている親と連絡を取り、お互いの関係を取り戻したときから会社が良くなったとか、上手くいかない子供との関係をただすことで業績がぐんぐん上がったとか、そう言った話は枚挙にいとまがありません。本書ではそういった事例を取り上げながら、一見、会社の経営とは関係なさそうな日々の生活の注意が、驚くほど会社経営を改善するということを説いています。
実際に詳しくその原理を学ぶには、倫理法人会という会に入会するのが手っ取り早いのですが、その入り口について説いた一冊と言えるかもしれません。たとえば、私もちょっとだけ朝早起きして、ちょっとだけ早く出社して、ちょとだけ会社の掃除をするだけで、会社がちょっと前向きに進み始めたという経験もしています。案外、経営を良くする近道なのかもしれません。
もし気になる方がいらっしゃれば、ご一読ください。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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