目次
はじめの一行
新版への序文
最近ある記者から、今回の世界同時不況で、何かアメリカの億万長者にかわったことがありますか、との質問を受けた。彼女は、昨今の株価暴落と住宅価格の値崩れで、億万長者は息絶えてしまったのではないかと思っていた。私は、どっこい”となりの億万長者”はこの不景気のさなかにも健在ですよ、と答えた。一九八〇年に調査を始めてから、億万長者の多くは株や住宅に限らず他の資産にも投資していることをいつも目にしてきた。
この序文を見ても、たぶん煽られるようなものではないと思います。
そういう意味では、億万長者になる秘訣をお教えします!というギラギラした感じの本ではないという事は想像がつきます。
実際のところ、億万長者本の割には地味な内容なのですが、そこと似たトーンで始まる一冊。
本書の内容
投資の本でもビジネスの本でもない億万長者本
お金に絡む本を私もそこそこ読んできたと思います。それらは、投資に関する本、そしてビジネスに関する本、あるいはスピリチュアル的な成功法則本に区分されるような気がします。で、本書はそのどこにも属さないという感じがします。そもそも、「億万長者」という定義をどうとらえるかが、一般の書籍とは違っているようです。たとえば、お金を沢山稼いで、瞬間最大風速的にお金がザクザクあるという状態を示しているわけではないのがこの本の特徴。本書でいう億万長者は、億単位の資産を継続して持っている人のことをいうらしい。
そういった切り口で様々な「となりの億万長者」へ取材をし、統計を取っていくと、どうも一般的なイメージのお金持ちとはずいぶんと違った印象が見えてきたらしい。
たとえば、本書でいうとなりの億万長者は、とにかく倹約家であると言います。高級住宅街に豪邸を持っているわけではなく、家や暮らし向きは質素。車だって高級車を乗り回すわけではなく、質実剛健なクルマ選びをする。そして彼らの年収は、驚くほど高いというわけでもなく、案外普通。普通の収入の人が、倹約して、蓄財していくから結果として億万長者になった。そんな実態を解き明かしている本となります。
そういう意味では、普通の人が億万長者になるマインドセットがよくわかる一冊と言えるかもしれません。ビジネスであり得ない成功を納めなくとも、しっかりと億万長者になれる。これが本書全体を通したメッセージだと感じました。
本書を読んで感じた事
世の中には、FP(ファイナンシャルプランナー)と呼ばれる仕事があります。
これは、その人の生涯のお金に関する計画を助ける人。投資や税に関する知識を有した、お金の専門家と言っていいかもしれません。
実は私もその資格を持っています。そんな立場から見ていくと、例えば相続ではどういう対策が必要か?とか、投資するにはどんな種類のものがあり、税制上有利なものは何か?という細目に関する提案をする人はたくさんいます。しかし、「億万長者になりたくはありませんか?」というなりたい姿にコミットしたFPってあまり見かけません。もしかしたら、本書はそういったところへの筋道となる一冊かも知れません。
億万長者の日々の暮らし、投資に対する考え方、親子での経済的な援助の在り方などはとても参考になる部分があります。億万長者のマインドセットを伝えるというビジネスモデルができておおかしくないな、と思った一冊です。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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