目次
はじめの一行
イントロダクション
静かな夜だった。
小沢恵子は車を走らせていた。曲がりくねった道。その両側は木々に囲まれていて、街灯は一つもない。真っ暗な林道。普段は気味が悪くて、この道は通らない。
しかし、今日は違った。どうしても早く帰って伝えたいことがあった。待望の子供ができたのだ。恵子はふとお腹に手を当ててみる。今はそのふくらみを感じることすらないのだが、確かにこのお腹の中に新しい命が宿っている。
すごーく一文が短いのは、すこしシリアスなムードを増長させるためでしょうか。
この書き出しを見ると、なんだか嫌な予感しかしないのですが、それはそれとしてグイグイ引き込まれてしまいますね。
果たしてどんな事件が起こるのか、はたまた起こらないのか。
そんな書き出しに感じました。
本書の内容
霊能者対決?
主人公の八雲は片目の瞳が赤い。
そしてその赤い瞳は、死者の魂を見ることができると言います。
そんな主人公、ちょっと彼に好意を寄せる大学生の晴香、腐れ縁のゴリラ刑事の後藤、後藤に憧れる少しどんくさい刑事石井。
こんな個性豊かなキャラクターを中心に物語が展開されていきます。
小説って、個性的なキャラクターが活き活きと動いてることが大事なんだな、とこのシリーズを読むと感じます。
今回はちょっとした幽霊騒ぎが起き、そこに出てくる怪しげな霊能者。
そしてその霊能者と対決する八雲、といったところのお話。
テーマというか根底にあるのは強姦事件。
それだけに結構重い話なのですが、考えさせられるべきところは考えさせられつつ、それでも重くなりすぎないような展開に感じました。
最後の結論をどう持っていくのか気になっていましたが、ああ、そうだよね、という落としどころ。
私的には微妙な安心感を感じましたが、世間的な評判も上々のようですね。
人生を狂わす事件
正直今回のテーマになっている強姦事件。
小説の中でも語られていますが、これが当事者に与える影響は計り知れないものがあります。
にもかかわらず刑期はせいぜい数年だとか。
なんとも男尊女卑的な考えがあるのでしょうか。
これって人によっては人生そのものの在り方を変えるほどのインパクトがある事件。
そんな事がない世の中を望みたいと思います。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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