はじめの一行
ナポレオン・ヒル博士のメッセージ
自己啓発分野では、不朽の名作と言える本書。
色々と形を変え、発売されているものの一つ。
この本は、こんな書き出しで始まります。
本書では各章で、その人生で名をあげ、富豪になった多くの人々に共通してみられる成功の秘訣について述べている。
登場人物は、すべて私自身が長い間、分析・観察してきた実在の人物ばかりである。
私は一九○八年、当時七三歳だった世界の鉄鋼王にして大富豪の、アンドリュー・カーネギー(一八三五~一九一九)から成功の秘訣を学んだ。年老いたこのスコットランド人は、彼自身の成功のノウハウを、当時まだ若かった私に、詳しく説明してくれた。話し終えると、カーネギーは椅子に腰を下ろして、目をキラキラさせながら、自分が話したことを理解するだけの頭脳を私がもっているかどうか、確かめようとしていた。
私が彼の哲学を理解したことがわかると、カーネギーは私に向かって、人生の敗北者で終わってしまうかもしれない多くの人々を助けるために、時間をかけてこの偉大な考え方を研究していく決意があるかどうかと尋ねた。
思考は現実化する_アクションマニュアル付き(ナポレオン・ヒル)
割と大人しめのトーンで始まる本書。
実は、この本ができた背景が、人を引き付けたのではないかと思います。
それは後述します。
本書の内容
有名なエピソード
この本ができた背景には、先程紹介した前書きのあとの話がエピソードとして語られています。
それは、カーネギーから依頼を受け、ヒルは紹介された紹介者に次々とインタビューをします。
その報酬はゼロ。
なぜなら、成功者とじかに接し、その秘訣を聞き、共通点を知ることでヒル自身が最も成功するはずだ、というのがカーネギーの主張。
そこに対して二つ返事でOKするヒル。
この物語が、実は本書が人をひきつけてやまない理由じゃないかと思います。
この本と少し似た印象を受ける本があります。
それは、本田健さんの「ユダヤ人大富豪の教え」です。
いずれも大富豪とひょんなことから出会い、そのうちで成功の秘訣を何日にもわたってレクチャーを受ける。
どこかファンタジー映画のような、印象を受けますがそういったストーリーは売れる本としては重要なのかもしれません。
その後のナポレオン・ヒル
たまたま手に入れたダン・ケネディの講演動画で、ナポレオンヒルの事が語られていました。
彼もまた、ヒルの考え方に魅せられ、それを実践することで成功したといいます。
しかし、ヒルの晩年はあまり豊かと言えるものではなかったそうです。
彼の残した本は素晴らしかったが、彼はそれを実践し続けられなかった、とダン・ケネディはいっています。
今最前線で活躍しているビジネスヒーローの多くは、ヒルの著書を参考にしているようです。
よく出てくる名前なので、一度はチェックしておいたほうがよさそうですね。
ナポレオン・ヒルの成功の定義
アメリカ的な話の文脈の中で、成功と言えば何となく物質的な成功をイメージしがちです。私としては、ナポレオン・ヒルといえばとにかくお金を稼ごう的なイメージがすごく強くありました。
しかし本書のかなり早い段階で出てくる、彼の成功の定義はもっとまともに見えます。単に物質的な豊かさではなく、カネの亡者でもなく、とにかく世の中との調和を前提とした願望実現を中心に据えているようにも思えます。お金の話ばかり、という印象を受けたのはもしかしたら、私のフィルターだったのかもしれません。
「成功」の定義
成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標【願望】を、黄金律にしたがって一つ一つ実現していく過程である。
※黄金律…「自分がしてほしいと思うことは、なによりもまず他人にそうしてあげることだ」
思考は現実化する アクション・マニュアル付き(ナポレオン・ヒル)
さらに、彼のまとめた願望実現のための六カ条を見てみます。
願望実現のための6カ条
1.あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。
2.実現したいと望むものを得るために、あなたはその代りに何を”差し出す”のかを決めること。
3.あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
4.願望実現のための詳細な計画を立てること。そしてまだその準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
5.実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
6.紙に書いたこの宣言を、1日に2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じ込ませることが大切である。
『思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき』(ナポレオン・ヒル)
どうやらここで言われていることは、願望を明確にし、自分の無意識化に刻み込むことが中心的な内容に見えます。ひとつ、あれ?と思うのは、「代わりに差し出すもの」を設定しています。これは、昔読んだときはピンとこなかったのですが、今ならハッキリわかります。それは例えば、何かを成し遂げるためには、みんなの中に埋もれるような状況ではないことが多いと思います。突飛なことをやって、周囲との関係を損ねる可能性もあります。ですから、願望実現の対価として、現在の人間関係を失う覚悟が必要なのかもしれません。或いは、あまりにも忙しくなって、今、自分が持っている「時間」を差し出すことになるかもしれません。そういった、後に起こるであろう葛藤に対処すべしということなのだろうと思います。
あらためて見るとよくできた内容です。相応の覚悟をしなさいよ、というメッセージと言えそうです。
本書に書かれている事
それまでの自己啓発書が、どちらかと言えば行動というより考え方を重視したものが多い。
そのなかでも、本書は比較的リアルな行動を重視したようなものに見えます。
といっても昔読んだ時と比べると、心構え系の話が多いような印象を受けたのは私の変化なのでしょうか。
まぁ、ちゃんとやれたら成功するんでしょうね。
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