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集まる場所が必要だ――孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学

はじめの一行

日本語版への序文

この序文を書いているのは2021年8月、日本でオリンピックが開かれているときだ。いつもの年なら、オリンピックはスポーツイベントであると同時に、交流の機会でもある。何千人もの選手が選手村に住み込み、生涯にわたる人間関係を築く。無数の人たちが協議を一緒に見て、フランスの社会学者エミール・デュルケームが「集団的興奮」と呼んだものを経験する。これは、その場面を共有するからこそ得られる稀有な自己超越の瞬間だ。

集まる場所が必要だ――孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学(エリック・クリネンバーグ)

本書のテーマは、社会インフラ。
ここで出てくるオリンピックの会場もまたその一つというとらえ方なのでしょう。
この社会インフラの重要性を本書では説いています。
その前振り的序文ですね。

本書の内容

社会インフラ

たとえば図書館を見て見ると、そこには老若男女がつどい思い思いの楽しみ方で自分の時間を楽しんでいると言います。
そしてその中でも交流が生まれたり、様々なつながりが生まれていたりします。
日ごろはあまり意識しないこのような社会インフラが、時として、人の命を救ったり、犯罪を抑止したりすることもある。
そんな事を本書は説いていたりします。

たとえば、1995年におきたシカゴ熱波において、その環境の中で生死を分けたのが社会的孤立だったと言います。
そういった孤立を生まないためには、孤立を生まないプロジェクトを立ち上げるというよりも、人が集まる場所を確保すべきである、という考え方も出来そうです。
そういったところで自然にできてくるコミュニティが、社会を救うのではないか、と言います。

コロナの影響もあり、私たちはオンラインの心地よさや、合理性を強く認識しています。
しかしオンラインというのは、基本的には常に石を持って参加する場所なのではないかと思います。
「ふらっと出かけて、突然の出会い」という物はなかなか得ることができない。
となると、案外人は小さい穴の中で暮らすことになってしまうのではないでしょうか。

合理的な社会の中で

社会はどんどん合理化されていき、都市空間の中に遊びが少なくなってきます。
こういった社会インフラも経費の削減などのあおりを受け、維持が難しくなっているのが世界的な傾向なのかもしれません。
そんな時、気軽な社交場として気にしていた図書館などの施設が徐々に消えて行ってしまう危険があります。
そうすると、単に本が読めなくなるというだけではなく、年の安全性にまで影響を及ぼしかねないことになっています。
社会インフラこそが、都市設計に重要なものと感じるに至るのが本書ですが、ぜひそんな日々を取り戻すべく考えて行きたいな、と感じました。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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