目次
はじめの一行
監禁?
この出だしを見ると、なんとなく監禁されているようにも感じられます。
しかも、八年も。
ただ、男と女の関係は今一つ見えず、この不安定感が次を読ませる。
そんな感じで、グイグイと引き付けられます。
この本は、何冊かシリーズとして出されていますが、書く側としてはシリーズ物の書き出しって結構悩むのではないかと思います。
同じパターンを踏襲するか、毎回違う演出をするか。
読者は、書き手ほどは意識してはよんではないと思うのですが…。
書いてる方は、そういった細部のこだわりで結構苦労してるんだろうな…とふと思いました。
地下室には規則的な寝息だけが響いていた。
久我春奈はベッドに体を横たえたまま、薄目を開ける。
天井が見えた。これまで八年もの間、救いを求める声が外に漏れるのを防いできた、頑丈で、忌まわしい天井だ。
親指を左に滑らせる。男の胸が膨らんだり、萎んだりしているのが、視界の端に映った。シーツの擦れる音に気を付けながら、ゆっくりと、ゆっくりと顔をひねる。男の横顔がはっきりと見えた。彫刻のように整った顔立ちに、かつては淡い恋心を抱いたこともあった。だが、恋慕の情はやがて憎しみに変わり、そのうち憎しみすらも恐怖に押しつぶされて、今はもう、空っぽだ。
本書の内容
大ボスとの対決!?
おなじみ、行動心理捜査官 楯岡絵麻(通称エンマ様)の活躍物語です。
ただ、本書は他のシリーズにないちょっとした盛り上がりがあります。
それが大ボスとの対決。
一作目からにおわされていた、楯岡絵麻が行動心理捜査官としての人生をスタートさせるきっかけとなった事件です。
この犯人と、絵麻がこの回で対峙します。
これ以上は、書くとまずいと思いますので、良かったら読んでください、というところではあるのですが。
私の個人的な感想は、シリーズ最高の盛り上がりではないか、と。
多分、著者はこの回あたりで完結とするつもりだったんじゃないかとも思うのですが・・・
そのあとも出続けています(笑)
結構苦労して書かれてるんじゃないでしょうかね。
ま、そんな渾身の一冊なので、ぜひ。
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