はじめの一行
プロローグ 最高の仕事をするために必要なもの
詰め込み過ぎて立ちどまる時間がない現代人
私はビデオ会議が苦手だ。理由は、相手が話しているあいだ唇をそっと閉じておくという、プロフェッショナルが一番心すべき辞世のテクニックを使いにくいから。
これは別に冗談ではなく、私は自他ともに認める「割り込み屋」で、もう何年もこの単純な対処法に頼ってやってきた。といっても、私は根っから無作法なわけじゃない。ただ話を先読みしすぎるらしく、それでついつい、相手が話し終える前に喋り出してしまう。
冒頭でビデオ会議の話が出るあたり、ナウな感じがしますが、きっとこれに共感する方も多いのでしょう。
本書の基本的な主張は、「戦略的な(主にスケジュールの)空白をつくろう」という提案なわけですが、どことなくバリバリのデジタルな人というより、若干アナログな層に向けられているようにも思えます。
そこが、ビデオ会議が苦手というところのシンパシーとなってくるのかなー、と勝手に想像したりしてみました。
本書の内容
空白が大事
私たち現代人は、とにかく時間に追われています。
ほんの30年前、携帯電話はこの世にはなく、外出している人との連絡手段は、ポケベル。
あとは、その人が立ち寄っている先を想像して、電話をかけてみるというなんとも神業な方法論。
営業社員がよくよる喫茶店に電話して、そこで呼び出してもらうなんて言う話がけっこうあったような。
びっくりするのは、人の行動把握を決行してたんですね。
話を元に戻しましょう。
かつては、営業で外出していれば、コールバックは早くてもその日の夕方。
翌日の午前でも、決して叱られるようなことはなかったと思います。
それが今では、午前中にもらった電話へのコールバックをその日のうちに返さなければ、結構な確率でクレームになります。
メールだって、翌日返せば合格点だったのが、LINEやらチャットになって、そのひ中どころか、数時間内に返信しろよ、と言われたりもします。
SNSなどでは、「これから二日間は電話がつながりません」なんてことを通知する人がいますが、かつては二日電話ができないなんてけっこう普通。
それぐらい、時間の感覚が切羽詰まってきています。
そういった物理的な忙しさは、時間管理術ではカバーできないところまで来ています。
そこで発想を転換して、「戦略的な空白をつくろう」と提案するのが本書。
実は、空白を作り、考えたり、ぼんやりする時間があるほうが、効率がいい、という研究結果も多数あるそうなんです。
たとえば、デフォルトモードネットワークという脳の状態があります。
これは人がぼんやりしている状態で、その状況だととても高速で脳が回転しているのだとか。
新しいアイデアは度はこの時に発せられる、なんていう案もあるようです。
それだけでなく、今の状況や自分のことを振り返る時間を持つことで、より良い行動をとれるようになるので、やはり休息は大事。
休息をとることで、頭がリフレッシュされ、仕事の効率は上がります。
空白を作るためにできること
本書は、そういった意図的な空白を作ることの大切さを説くとともに、その空白を作る戦略も提示しています。
面白いのは、4つの時間泥棒。
一つ目が、意欲。全部やろうとしないという事。
二つ目が、優秀さ。完ぺき主義との決別。
三つ目が、情報。情報が多すぎることで仕事の邪魔になっていると言います。
四つ目が、活発さ。足るを知るという事を説いています。
この四つはどちらかというと外的要因というより内的要因です。
自分で制御できる分野なので、はじめにメスを入れるにはちょうどいい項目ではないかと思います。
そんな事を積み重ねながら、時間を上手く活用していってみましょう。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
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