ノンフィクション

飛田で生きる: 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白




はじめの一行

イントロダクション

大阪にいても怪しげな響きしかない。
それが飛田。
そんな中に潜入、しかもそこで商売をやっていた人の手記ですから好奇心は刺激されます。

著者が、その店を持つことになったいきさつがドラマチックに語り始められます。

「飛田で店持ったら稼げるで」
失業中の会社員だった私が、こんな甘い言葉をかけられたのはちょうど一〇年前の事でした。いい女の子さえつかまえておけば、こんなに楽な稼業はない。細かい事はオバちゃんに任せておけばええ。それで月に数百万の上りがあるんやから、一度やったらやめられなくなるで。
魅力的なうたい文句に私の心は大きく揺らぎました。
一度遊んだことはあったので、「飛田で店を持つ」ということが、何をする商売なのかは想像がつきます。しかし、そこがどんな街なのか。どんな人たちがいるのか。どのようなシステムでお店を経営しているのか。細かい事は知りません。

飛田で生きる: 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白(杉坂圭介)

本書の内容

怪しく映る飛田の実態

実は、大阪に住んでいても、飛田の町にはあまり近付くことのない私。
むかし、営業をしているときに、ふらふらと迷い込んだことがあって、独特の世界観に驚いたことがあります。
正直なところ、なかなか足を踏み入れるのは勇気のいることではないかと思います。

もはや治外法権的な場所で、犯罪の温床。
そんなイメージも持っていました。

しかし、本書を読む限りは、割とちゃんとしている。
逆にちゃんとしないと存続できないという中で、自治会的組織がきちんと機能しているようです。

本書においては、親方と女の子の関係、親方とオバちゃんとの関係、
そしてそこに見え隠れする人間模様がありありと描かれています。
冒頭のように、オーナーとして楽々稼げるか・・・というとどうもそういう事でもないようです。

 

特殊な事情を持った人が集まるこの町では、普通の企業等ではなかなか見えにくい化けの皮がはがれて見える。
まさに裸で生きる人たちの町といえるのかもしれません。

ところで、あるタイミングから飛田を描いた書籍が随分一気に出てきた印象があります。
それはもしかしたら、阿倍野地区の再開発、ハルカスの竣工、そんな中で街の変化に不安を感じているのかもしれません。
彼らもまた生き残りをかけているし、そこにいる人たちも、飛田があるから生きていけるという必然性が表現されています。

興味本位で読みだした本ですが、なかなか読みごたえがありました。

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