目次
はじめの一行
サイレン
『プリティ・ウーマン』のポスターに載っているジュリア・ロバーツとリチャード・ギアの写真は、顔だけが本人で、首から下は別人だ。
ふたりが背中合わせに立っている全身像を撮ってはみたが、ジュリアの脚が長すぎるうえに、リチャードのほうは背が低すぎた。
ネガはデザイン化され、すでにポスターの印刷も始まっていたが、配給のウォルト・ディズニー・スタジオがこれを問題視し、撮り直しを決めた。しかしスターを再び撮影のために呼び戻すのは難しく、ボディ・ダブル専門の役者を使い、頭部の身元の写真を合成した。
いきなり、映画のポスターの話。
シリーズを読んできた読者にとっては、あれ、と思う。
ただ本作を初めて読んだ人にしてみれば、鑑定士というタイトルとポスターの話でそういう鑑定家なのか、と納得するのかもしれません。
まあそのあたりはよくわかりませんが、へぇ、と思う逸話から始まるのはやっぱり意図してなんでしょうかね。
本書の内容
映画ポスターをめぐる話
万能鑑定士凛田莉子は、またもや風変わりな事件の鑑定を依頼されるというところから始まります。
燃やされたポスターの鑑定。
その事件は次々と飛び火し、捜査陣は翻弄される。
本来そのありかがわからない、古いレアなポスターが狙い撃ちで燃やされるわけです。
その映画はもともと上映が自粛された作品。
その映画に込められたメッセージが、犯行の理由なのか。
そもそもそのポスターのありかは誰もわからないはずなのに、燃やされる。
監視の目の中の密室なのに燃やされる。
まあそんな事件を追うことになったのが、莉子と嵯峨敏也。
この嵯峨敏也というのが、高名な臨床心理士。
じつは、著者の処女作「睡眠」で主人公を務め、千里眼でも結構重要な役どころを務めています。
で本作でも出ずっぱり・・・?
そのあたりの詳細は読んでお楽しみ、ということで。
手塚スターシステムを採用?
実は、著者である松岡圭祐さんの作品では、さまざまなキャラクターが作品を飛び越えて出演しているようです。
前述の通り、本作の嵯峨敏也がまさにそういう位置づけ。
実はこのスタイルは、マンガ家の手塚治虫さんが成果を残した手塚スターシステムというところに似てますね。
手塚治虫さんに関して言えば、名前も人格も変わって別の物語に登場させるキャラがけっこうある。
キャラクターが俳優という設定に近いのでしょう。
ただ、松岡圭祐さんに関して言うと、その人がその役どころそのままで出てくるのでやはりちょっと違うのでしょうか。
それぞれのキャラクターの役作りがち密になされているので、これはこれで成果を上げてるのでしょう。
たぶん松岡さん的には、自分の作品の出来事・事件年表とか作ってるんでしょうね。
他の作品でほかの事件を語る事とかありそうです。
ま、そんなことを楽しみにしながら、次作も読んでいきたいと思います。
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